TikTokのアルゴリズム、ユーザー心理操作か 専門家が指摘
音楽業界に法律サービスを提供する米国のクリス・キャッスル弁護士は8月16日、かねて懸念を示しているTikTokの不透明性について、最新のレポートを公開した。米国のZ世代に対する、中国への印象操作の可能性に警鐘を鳴らしている。
米ラトガース大学のネットワーク伝染研究所(NCRI)は8月、TikTokで「親中および無関係なコンテンツの増幅」と「反中コンテンツの抑制」などが行われていると指摘。米国人を対象とした心理調査では、TikTokのヘビーユーザー(視聴時間が1日当たり3時間以上)は、非ユーザーと比べて親中派が約50%増加したという。
NCRIは、中国共産党が大規模な情報操作と組み合わせてアルゴリズム操作を展開し、ユーザーの信条や行動に影響を与えており、特にTikTokではこうした取り組みが大きな成功を収めていると評価した。
米司法省は7月、現在の中国親会社がTikTokの運営を続ける場合、中国政府が米国の選挙に秘密裏に影響を及ぼすことを許す可能性があると指摘。同アプリのアルゴリズムが「独自の目的のために米国人の見方に影響を与える」ための「秘密操作」に使用される可能性があり、「国家安全保障に対する受け入れ難い脅威となる」との考えを示した。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「TikTokの個人情報を中国政府が利用して世論を操作している懸念からアメリカでTikTok利用禁止法案が成立したが、今回は個人情報だけでなくTikTokのアルゴリズムが中国共産党への印象操作に使われている可能性を指摘するレポートが公開された。この動向はいずれ同盟国の日本にも影響しそうなので注目」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。