AIカバー、YouTubeに約163万本 アーティストに総額20億円の不利益 英調べ
中古CDなどを取り扱うEC(電子商取引)サイトのMusicMagpie(英国)によると、AIに最もカバーされたアーティストのトップ3は、ブラックピンク、ジャスティン・ビーバー、カニエ・ウェストだった。
この3組を合わせたYouTube再生回数は約3,300万回で、うちブラックピンクは1,730万回以上。音楽業界ニュースサイトのHypebotは、一般的に業界が低レベルのヒットとみなす水準(5,000万回〜)と比較すると、現時点での影響はわずかとの見方を示している。
一方で、YouTubeには約163万本のAI生成カバーがあり、それぞれの平均再生回数の中央値は2,082回。これら再生回数をSpotifyに換算すると、アーティストの損失は総額1,066万2,897.55ポンド(約20億円)となり、最も影響を受けたブラックピンクは37万6,184.85ポンドを失ったとMusicMagpieは推計している。
同社は今回、1,500本のAIが生成したカバーを対象に、ストリーミング数や動画本数、特定のAIアーティストの人気を分析した。
また、別の調査からは、英国成人(21〜60歳)の49%が、AI生成音楽と人間が作った楽曲を区別できなかったことが判明。Z世代は52%、X世代は50%、ミレニアル世代は45%がそれぞれAIを認識できなかった。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「英国でYouTubeにAIカバー163万本、アーティストの被害額20億円。若い世代ほどAIと人間の区別がつかないという調査結果も。先日、YouTubeは音楽業界と協力して生成AIの違法楽曲を削除する体制を整えた。同時にUMGなどと協力し公式のアーティストAIがYouTubeで使えるプロジェクトを進めている。AIにはAIで、偽物には本物で対抗する」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。