録音原盤市場、イタリア・スペイン・ブラジルが好調 米国は伸び鈍化
各国の業界団体が、2024年上半期(1〜6月)の録音原盤市場の売上高を相次いで発表した。世界最大市場の米国では前年同期比3.9%増と伸びが小幅にとどまったものの、イタリア(15.1%拡大)、スペイン(16.6%増)やブラジル(21%増)は2桁台を確保している。
金額で見ると、米国は86億5,000万ドル(約1兆2,300万円)。イタリアは2億260万ユーロ(約322億7,140万円)、スペインは2億4,980万ユーロ(約392億1,000万円)、ブラジルは14億4,000万レアル(約361億6,000万円)だった。
このうちトリーミング(広告収入とサブスクリプションを含む)が占める割合は、米国が84%、イタリアが81%、スペインが88.8%、ブラジルが99.2%。ストリーミング収入の成長率はそれぞれ、3.8%、18.1%、19.1%、21.1%だった。
イタリアのサブスク聴取は23%増の1億1,180万ユーロだったが、無料聴取における広告売上の分配は1.1%減の2,820万ユーロとなった。動画は2,420万ユーロと、23.5%拡大した。総ストリーミング数は31.7%伸び、460億回を記録。アルバムとシングルのトップ10は、いずれもイタリア人ミュージシャンによるものだった。
ブラジルではストリーミング全体の7割に当たるサブスク売上が28.4%伸び、無料ストリーミングにおける広告売上の分配は6.6%増えた。
スペインのストリーミングにおける有料契約者の割合は68%。同国の業界団体Promusicae(プロムシカエ)は、無料ユーザーの有料プランへの切り替えが今後のさらなる成長につながるとの見方を示している。
国際レコード産業連盟(IFPI) によると、ブラジルは昨年、世界で9番目に大きなレコード音楽市場となった。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「音楽ソフト上半期売上は前年同期比でイタリア15.1%増、スペイン16.6%増、ブラジル21%増と高成長。一方、サブスクの普及が終わったアメリカは3.9%の微増と低成長に。なお日本の上半期は音楽配信売上が8%増も物理が22%減で大幅なマイナス成長」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。