米ストリーミング詐欺事件、被害額14億円のうちSpotifyが占める割合は「1%未満」
米国で起きたストリーミング詐欺事件を巡り、Spotifyは音楽ストリーミング全体のおよそ半分を自社が占めているにもかかわらず、詐取されたとされるロイヤリティーに占める割合がわずか0.6%に過ぎないと明かした。同社の広報担当者の話を元に、Music Business Worldwide(MBW)などが9月12日伝えた。
米司法省は同月4日、AIを使用して大量の偽音楽ストリームを行い、1,000万ドル(約14億3,500万円)超の印税を得たとして、ミュージシャンのマイケル・スミス(54)を起訴した。
これについて、Spotifyはまず「弊社のプラットフォームにおける人工的なストリーミングの影響を防止・検出・緩和するため、自動および手動のレビューに多大な投資を行っている」と説明。今回のケースでは、自社の防止策が功を奏し、被告がSpotifyから得ることができたロイヤリティーは「起訴状に記載された1,000万ドルのうち約6万ドルにとどめられたようだ」と述べた。
さらに、「Spotifyは通常、ストリームシェアの約50%を占めている」とした上で、今回の結果は、自社が講じている防止策が人為的なストリーミングの影響を抑制する上で、いかに効果的であるかを示していると話した。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「アメリカの音楽プロデューサーが生成AIを悪用し、詐欺ストリーミングで約14億円を詐取して起訴された事件。Spotifyの被害額はその0.6%にとどまった。同社がリソースを割いて詐欺ストリーミングを自動・手動で取り締まってきた成果。サイバーテロと同じで、攻撃を上回る人的リソースとテクノロジーで対抗するしかない」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。