TikTokの音楽サブスク「TikTok Music」閉鎖

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TikTokは9月24日、定額制音楽配信サービス「TikTok Music」を11月28日に閉鎖すると発表した。今後は既存のDSP(デジタル音楽配信事業者)とのパートナーシップに注力する方針だ。 

TikTok Musicは現在、インドネシア、ブラジル、オーストラリア、シンガポール、メキシコでサービスを展開している。同社は今後、180カ国以上で利用できる「Add To Music App」機能にリソースを集中させる計画だ。 

Add to Music Appは、TikTokユーザーが同動画プラットフォームで発見した音楽トラックを、音楽オーディオストリーミングサービスのプレイリストに保存できるもので、2月に導入された。Apple MusicやAmazon Music、Spotifyで利用できる。

TikTokの音楽ビジネス開発のグローバルヘッドであるオーレ・オーベルマン氏は「Add to Music Appは、既にパートナーの音楽ストリーミングサービスのプレイリストへの何億ものトラック保存を可能にしている」と主張。アーティストや作詞作曲家、音楽業界の利益のために、音楽ストリーミングサービスでの音楽の聴取と価値をさらに高めるという同社の役割に集中するため、TikTok Musicを閉鎖すると説明した。 

なお、TikTokは現在、米国で使用禁止となる可能性に直面しており、TikTok Musicの市場拡大計画が妨げられたとの見方もある。

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「TikTokが南米などで始めた音楽サブスクTikTok Musicは開始時、いずれSpotifyの強力なライバルになると予想されていたが、アメリカでTikTok自体が法で禁じられて以降、雲行きがあやしくなっていた。TikTok禁止法はは日本や西欧など同盟国に広がるリスクもあったが結局、全面的な閉鎖を決断した。うまくいけばプロモーションと売上を兼ねた最強の音楽サービスになったかもしれないので、音楽業界的には残念な部分もあるだろう 

 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。