TikTok、インディーズに支払い減額の契約条件提示か

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インディペンデントのデジタル音楽ライセンスパートナーであるMerlin(マーリン)とTikTokのライセンス契約の満了日が近づく中、TikTokがマーリン会員に提示している直接契約の条件が明らかになりつつある。ある会社には、マーリンと結んでいる現行契約の「半分以下」のロイヤリティー支払いが提示されているという。米エンターテインメント業界誌バラエティー(Variety)が複数の関係者の話を元に、10月9日伝えた。 

それによると、TikTokは大手とは交渉のテーブルにつくものの、大半のレーベルには「標準的な契約」を送付して「契約するかしないか」を迫るようだ。11月以降もカタログを残すためには10月25日までに契約を結ぶ必要があるが、多くの小規模レーベルが契約を辞退し、その音楽が同プラットフォーム上から消える恐れがある。 

マーリンは9月、TikTokが10月31日の期限切れを前に、新たなライセンス契約の「交渉を拒否した」と発表。TikTokはマーリン会員との直接取引を望んでおり、これについてマーリンは「会員を細分化し、ロイヤリティーの支払いを最小限に抑えるためだ」と批判。 一方のTikTokは、マーリンが加盟団体の詐欺対策に失敗したことが理由としている。 

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「TikTokがアーティストなどへ払う楽曲使用料がSpotifyなどと比べ著しく低い問題。レーベル最大手ユニバーサルがいったん契約解除して改善を促し成功したが、欧州最大のインディーズのライセンサー、マーリンもTikTokとの攻防が始まっている。録音物は再生の瞬間に消費が終わる時代。『宣伝になるからいいだろう』というCDと放送の時代の価値観はもう通じない気がする」

 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。