ユニバーサル ミュージック、 AI技術で定番曲のスペイン語版リリース
ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)は10月25日、1958年にリリースされたブレンダ・リーによるクリスマスの定番曲「Rockin’ Around The Christmas Tree」の、スペイン語バージョンを発表した。音楽クリエイター向けに「責任を持って」訓練された生成AIツールを開発しているSoundLabsと協業した作品の第1弾となる。
スペイン語バージョンとなる「Noche Buena y Navidad」は、ラテン・グラミー賞の受賞歴を持つアウエロ・バケイロがプロデュース。インストゥルメンタルとバックグラウンド・ボーカルはそのままに、SoundLabsのボーカル・プラグイン「MicDrop」を用いて、リーのオリジナルのリード・ボーカルをスペイン語に翻訳されたボーカルに置き換えた。その結果、まるで13歳のリーがブースで歌ったかのような、原曲と同じ空気感を持った新バージョンが誕生した。
UMGはこれについて、「音楽会社が『倫理的に訓練されたAI 』を使って、名曲を新たな言語版でリリースするのは初めてのことで、アーティストの関与と承認を得て責任を持って制作された」と主張した。
両社は6月に提携。MicDropのカスタム・ボーカル・モデルをUMGのアーティストに提供する方針を示していた。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「生成AIを使えば曲を元のトラック、本人の声のまま他言語に変えられるが、ブレンダ・リーによるクリスマスの定番曲がAIでスペイン語化された。ポイントはメジャーレーベルが合法に進めたこと。ユニバーサルミュージックのグレンジCEOは過去、Spotifyの立ち上げを積極的に支援したが現在、『Spotifyの次』として生成AIの積極的利用を進めている。『音楽xAI=著作権侵害』だけの時代は既に終わっている」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。