著作権侵害で提訴された音楽生成AI「Suno」、グラミー受賞プロデューサーが戦略アドバイザー就任

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音楽生成AIサービスを手がける米新興企業Sunoは10月22日、グラミー賞を受賞したプロデューサーのティンバランドを戦略アドバイザーに迎えると発表した。

ティンバランドは数カ月前からこのプラットフォームの「トップユーザー」だった。今後は、新しい音楽生成AIツールの「日々の製品開発と戦略的クリエイティブ・ディレクション」において、「積極的」な役割を担うことになるという。

今回の提携の一環として、ティンバランドの最新シングル「Love Again」の独占視聴が同プラットフォームで始まった。また、Sunoのユーザーは、ティンバランド本人がフィードバックと審査を行う同曲のリミックス・コンテストに参加が可能。入賞したリミックスに10万ドル(約1,500万円)超の賞金が贈られるほか、上位2つのリミックスは主要ストリーミングサービスでリリースされる。

Sunoを巡っては、ライセンス契約なしに著作権で保護された音楽をトレーニングに用いている可能性が指摘されている。6月には全米レコード協会(RIAA)がSunoおよび同業Udioを提訴。両社は8月に提出した裁判所への回答文の中で、レコード会社の著作権で保護された録音物を使用したことをほぼ認めている。 

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「プロの評価も高かった音楽生成AI、Suno。著作権のある録音物を違法に学習していたと裁判で認めたが、グラミー賞プロデューサーでありSunoのヘビーユーザーだったティンバランドを戦略アドバイザーに迎えた。合法化へ舵を切ることなのだろうが、Googleとユニバーサルミュージックなど、契約を取り交わして音楽生成AIに著作物を学習させている先行者や、著作権の意識の低い国の競合AIとも戦うことになるので前途多難だ」 

 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。