世界の音楽グッズ市場、成長鈍化も MIDiA予測
英国の音楽専門コンサルティング・ファームであるMIDiA Reserchは10月24日、世界の音楽マーチャンダイズ市場が2030年に163億ドル(約2兆5,000億円)になるとの見通しを発表した。2024年の140億ドル(推計)から拡大するものの、年間売り上げ成長率については2030年にわずか1.6%へ鈍化するとみている。
この音楽マーチャンダイズには、ゲーム内アイテムを含むフィジカル商品とデジタル商品のほか、レコードやCD、カセットなど物理的な音楽パッケージも含まれる。
一方で同社は、「非公式グッズの販売が市場を侵食している」と指摘。グッズ購入行動の約4分の1は、ファンが制作したグッズや、Etsy(ハンドメイド品のマーケットプレイス)、中古市場といった非公式業者からの購入で、音楽業界から切り離されていると説明した。MIDiAは「アーティストや権利者は、こうしたファンや無許可の販売業者と協力することで、これをチャンスに変えることができる」との考えを示している。
さらに、ファンダムの収益化が重要視される中、バランスをとる必要性があると主張。ファンの消費意欲は当然視されるべきではなく、利用されていると感じれば、その反動はすぐにやってくると警鐘を鳴らした。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「音楽のマーチャンダイジング市場は案外巨大で、世界的にはストリーミング売上とほぼ同じくらい。昨年の世界の音楽ソフト売上(卸値ベース)が286億ドル、うちストリーミング売上がその半分ぐらいで、世界の音楽マーチャンダイジングは2024年にはほぼ同等の140億ドルに。英MIDiAは2030年に音楽マーチャンダイジング売上は163億ドルになり、そこから停滞すると予想している。」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。