TikTok禁止の行方、鍵はイーロン・マスク氏?
米国で使用禁止の危機に直面する中、TikTokの周受資(ショウ・チュウ)CEOは、トランプ次期大統領の就任を前に、米実業家でX(旧ツイッター)を所有するイーロン・マスク氏に助言を求めた。マスク氏はトランプ氏の当選に貢献したとされており、次期政権では政府効率化省のトップに就任することが決まっている。情報筋の話を元に、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が11月23日伝えた。
チュウCEOは何度もマスク氏に接触し、新政権の技術政策について尋ねたという。 TikTokは現在、「『TikTok禁止法』は違憲」として連邦政府を提訴している。情報筋によれば、トランプ氏は同禁止令の発効を阻止する計画を立てているとされる。
トランプ氏は前回の任期中にTikTokの全面禁止を試みたが、2024年大統領選では「米国のTikTokを救いたい全ての人のために、トランプに投票しよう」と呼びかけるなど、好意的な姿勢を示している。背景には、米国の億万長者で、 TikTokの親会社であるバイトダンス(北京字節跳動科技)の大株主であるジェフ・ヤス氏の働きかけがあったとみられる。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「TikTokは最短で来年からアメリカで禁止される法案が通っているが、TikTokのCEOから支援を受けたトランプ氏が当選し、さらにイーロン・マスク氏が高官に就くことでいっそう不透明になってきた。記事にある通り、TikTok周受資CEOはマスク氏に何度も接触。一方で国務長官と国防長官には、対中国タカ派のルビオ上院議員とヘグセス氏が就任予定。バイデン政権では、主に国防上の理由からTikTokの禁止法案が通っている。TikTok禁止法案はトランプ氏が前回の任期中に言い出した」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。