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英国の音楽産業、1.5兆円の経済貢献 国際競争とAI脅威で「転換点」の兆し

ビジネス 海外

英国の音楽業界団体「UKミュージック」が11月20日に公表した年次報告書「This Is Music」によると、同国の音楽ビジネスの経済貢献額は、2023年に過去最高の76億ポンド(約1兆4,600億円、総付加価値額ベース)を記録した。 

ビヨンセ、バーナ・ボーイ、ハリー・スタイルズらによる巨額の英国ツアーが原動力となり、前年比で13%拡大した。 

このレポートは、英国を拠点とする音楽クリエーターと権利保有者を対象に、ライブ、レコード販売、出版、商品、マーチャンダイズなど、あらゆる収入の流れにおける英国音楽産業の経済効果を測定している。 

 一方でUKミュージックは、英国の音楽業界は「世界的な競争激化と、規制のないAIによる脅威などにより、『転換期』に差しかかっている」と警鐘を鳴らした。 

音楽輸出額は15%増の46億ポンド、音楽産業における雇用者数は3%増の21万6,000人(フルタイム換算)となり、いずれも過去最高をなった(輸出額は英国の音楽会社やクリエーターが国外で生み出した総収入に基づき算出)。 

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「英国の音楽産業、76億ポンド(約1.5兆円)の経済貢献。ビヨンセなどの英国ツアーが押し上げ、前年度比13%増に。輸出額も15%増で過去最高と以前の記事で伝えたが、サブスクの世界的普及で各国のローカル音楽が活況で洋楽のシェアの低下、加えてAIの台頭で英国の音楽輸出は転換期にある。なおRIAA(米レコ協)は2020年、米国での音楽産業の経済貢献は2,120億ドル(約32兆5,400万円)あったと発表。こちらは音楽ハードや音楽アプリ、音楽教育などを含めているのでカウントの仕方の違いがある」 

 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。