世界の音楽著作権の価値、映画産業の興行収入を大きく上回る
世界の音楽著作権(録音と作曲の両方)の価値は、2023年に前年比11%増の455億ドル(約6兆8,200億円)となり、映画産業(映画興行収入332億ドル)を38%上回る規模となった。Spotifyと英国の音楽出版団体「PRS for Music」の元首席エコノミストであるウィル・ペイジ氏が11月25日に発表した報告書で明らかになった。
音楽著作権の価値は、2021年比で26%増、2014年(250億ドル)比では倍近くに拡大。ペイジ氏は「2024年には過去10年で倍増している可能性が高く、間違いなく盛況の中にある」と述べている。
内訳を見ると、285億ドル(約63%)をレコード音楽収入が占め、前年から12%伸びた。残りの37%は作曲によるもので、129億ドルは著作権管理団体(CMO)によってもたらされ(前年比11%増)、42億ドルは出版社の直接収入(前年比4%増)だった。
ペイジ氏は、CMOの徴収額の伸びが鈍化したことについて「コロナ禍からの回復を経て、着実な成長パターンに戻りつつあることを示唆している」と指摘した。2019年時点では、映画産業は音楽著作権(316億ドル)よりも33%大きかった。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「音楽著作権(隣接権の録音を含む)の価値がここ十年で倍増。世界の映画興行売上を38%上回った。これは歴史的な出来事で、インターネットの普及時にはオワコン扱いされていた音楽産業がスマホの登場を機に他のエンタメに先駆けてサブスク、SNS、動画共有、グローバル化などあらゆる面で、権利関係でも対応できたことが大きい」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。