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ストリーミングにおける「イノベーションのジレンマ」

ビジネス 海外

英国の音楽専門コンサルティング・ファームであるMIDiA Reserchが、クレイトン・クリステンセンが説いた「イノベーターのジレンマ」を引き合いに出し、ストリーミングにおけるイノベーションのあり方を考察している。 

加入者数の伸びが鈍化している欧米で現在、トリーミング業界が「最適化」に焦点を当てていることを賢明な「持続的イノベーション」だと評価する一方、単なる持続にとどまらず、自らを「破壊」しなければ、ソーシャルミュージックにより「破壊的イノベーション」がもたらされるとみている。 

例としてSpotifyは、利益率を改善する、持続的イノベーションを実行している上、中長期のアクセラレーターがあると指摘した。 

<持続的イノベーション> 

・Spotifyに約15%の追加シェアをもたらすとされるディスカバリー・モード 

・レーベルとディストリビューターの不正行為に対する制裁金で、より多くの収入を獲得 

・「近代化された」2段階ライセンスで、ロイヤリティー支払い対象の楽曲数を削減 

・オーディオブックのバンドル化で、音楽権利者の取り分を減らし、(書籍権利者の支払い次第では)Spotifyの取り分を増やす可能性も 

<中長期のアクセラレーター> 

・グローバルサウス市場でユーザーベースを拡大しており、欧米の権利者パートナーのような成長減速の懸念には直面していない 

・音楽以外のフォーマットでクリエーターネットワークを構築し、より利益率の高いコンテンツへの道を開拓 

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「音楽サブスクが誕生した2001年末(誤記ではない。拙著参照)から四半世紀が迫ろうとしている。これはCD誕生の1982年から売上ピークの2000年までの18年より既に長い。Spotifyの本格展開が始まった2009年からも15年が過ぎている。かつて音楽産業は高収益なCDを捨てきれず、音楽配信への移行が遅れた。CD発祥の国であり最も成功した日本が特にこのイノベーションのジレンマが酷かったが、スーパーファンや高音質を対象に月額の高価格化を狙っている音楽ストリーミングも同様の現象が起きかねないと英MIDiA社の著名音楽コンサルタントが指摘。新たな流れはSNS系から出てくるかもと彼は予測している。」 

 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。