全曲AI作成か、人気の音楽系YouTubeチャンネル
人気のYouTubeチャンネルで流れるローファイ・チル・ミュージックの全曲が、音楽生成AIサービス「Suno」で制作されている可能性が浮上している。YouTubeは、AI生成コンテンツの収益化を禁じる方針を持っておらず、ローファイな音楽をAIで生成するチュートリアル動画が普及しているため、同様のチャンネルであふれることが懸念される。Digital Music Newsが11月26日伝えた。
TikTokの音楽インフルエンサー「Derrick Gee」は、ローファイ・ジャズのインストゥルメンタル・ミックスを流すYouTubeチャンネル「what is ?」が、AIという根拠を示している。
what is ?は9月に開設されたばかりだが、チャンネル登録者は13万人を超え、最も人気の動画「sip」は200万回以上再生されている。公開されているミックスにはトラックリストがあるが、アーティストがクレジットされているものはない。
アカウントプロフィールにあるURLは、同チャンネルの主要なDSPプレイリストへのリンクツリーのみ。「Sunoが作ったようなサウンドだ」という視聴者コメントに、チャンネル作成者が「いいね!」をしていたこともあった。Sunoで似たローファイ・ミックスも作れたという。
YouTubeは現在、視聴者が「実在の人物、場所、シーン、イベントと容易に間違える」可能性がある場合にのみ、クリエーターにAIの使用を開示するよう求めている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「AIで大量に生成したらしき音楽を流すYouTubeチャンネルが人気を集めつつある。これがプロも驚く品質で話題となったSunoの〝作風〟にそっくりとのことで、同様の音楽がYouTubeやTikTokなどにあふれる可能性が懸念されている。Sunoは米レコ協(RIAA)に著作権のある楽曲を学習素材にしていると訴えられており、告訴の内容をほぼ認めている。ヒップホップのトラックや今回のチル系などは生成AIが得意としている音楽ジャンル。音楽業界はAIの学習材料になった曲に売上が還流するよう、環境の整備を急いでいる」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。