AI環境の整備訴え CISAC会長、1.6兆円のクリエーター収入減の見通しで
CISAC(著作権協会国際連合、シサック)の生成AIに関する調査で、音楽クリエーターの収入が今後5年で総額100億ユーロ(約1兆6,000万円)減少する恐れがあるなど、その影響の大きさが浮き彫りとなった。
調査結果を受け、CISACのビョルン・ウルヴァース会長は「AIはクリエーターにエキサイティングな機会をもたらす半面、大ダメージを与える力を持っている」とした上で、今後の進展は、政策立案者の選択に大きく左右されると強調。正しく規制し、クリエーターの権利や人間の創造性、文化を保護するAI環境の発展を支援することが重要だと述べた。
ガディ・オロン事務局長は、クリエーターの保護と、AIサービスの透明性の確保により、クリエーターとテック業界はwin-winの関係を築けるとの見方を示した。
CISAC副会長で映画監督・脚本家のアンヘレス・ゴンサレス・シンデ・レイグ氏は、この研究が「クリエーターの権利をAIの世界の中心に据える、倫理的かつ経済的に健全な政策の必要性を強調している」とコメント。CISAC理事長で、ブラジル作曲家協会(UBC)のCEOであるマルセロ・カステロ・ブランコ氏は「われわれの部門は、さまざまな新技術に適応してきたが、流通チャネルだけでなく、クリエイティブなプロセスの核心にまで破壊が及ぶ生成AIは未知の領域だ」と述べた。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「先日、反響も大きかった『生成AIで今後、音楽クリエーター側の収入が5年で総額100億ユーロ(約1兆6,000万円)減少するかも』というレポート。じゃあどうすればいいの?というところで、調査したCISAC(著作権協会国際連合)の幹部4人から示唆的なコメントが出ている。法律でAIサービスの透明性を確保することが、今後AIの発展をクリエーターのプラスに繋げていくキーポイントになっている」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。
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