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音楽業界の資金調達額、11月は3割増 2カ月連続のプラス

ビジネス 海外

音楽業界の資金調達額(「業界隣接」分を除く)は、2024年11月に4,660万ドル(約73億円)となり、前年同月比27%近く増加した。2カ月連続で伸びている。一方、年初からの累計では、前年同から35%落ち込んでいる。独自のデータを基に、Digital Music Newsが12月9日伝えた。 

同社は、業界内および業界周辺の資金調達に関するデータベース「音楽産業資金調達トラッカー」を展開。「コア(中核)」と「業界隣接」で区分している。 

それによると、11月の資金調達件数は5件。前年同月から横ばいだった。 

最高額は、カナダのフィンテック企業トロリーの2,300万ドル。半面、最も小さいのは、米国のエドテック企業コンダクションの25万ドルだった。 

トロリーは、サウンドクラウドやバンドキャンプなどに決済技術を提供。一方のコンダクションは、生徒が簡単にデジタル楽曲を制作できるプラットフォームを手がけている。 

年初からの累計調達額は、「中核」と「業界隣接」を合わせて約32億1,000万ドル。コンコード・ミュージック・グループ(8億5,000万ドル)とアイコニック・アーティスツ・グループ(10億ドル)で、全体の58%を占めた。前年同期(100億8,000万ドル)と比べると約68%減少しているが、1年前はAI企業など「業界隣接」が占める割合が大きかった。 

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「音楽業界の資金調達額は昨年のAIブームから一段落ちていたが、ここ二ヶ月、回復基調にある。AIやフィンテック系のベンチャーがやはり多い印象だ。以前、Spotifyが伸びた2012年あたりも音楽系への投資が活発化した。その際は、レコメンデーション・エンジンやSNSが多かったように思うが、その方向ではほとんど生き残らず厳しい競争だった。記事を補足するとコンコード(8.5億ドル調達)はグレン・バラッドやダフト・パンクの版権を持つ。アイコニック(10億ドル調達)もビーチボーイズやロッド・スチュワートの版権を持ち、昨今の音楽出版への手堅い投資ブームを受けた形だ 

 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。