世界広告収入、9.5%増で初の1兆ドル突破 WPP予測
世界最大手の広告会社WPP(英国)のメディア投資部門グループエムは、世界広告市場レポートを発表した。2024年の広告収入(米国の政治広告を除く)は、前年比9.5%伸び、初めて1兆ドル(約156兆円)を突破するとみている。
同社は、広告販売最大手の好調な業績とデジタル展開の拡大が押し上げ要因になったと説明。2025年には、成長率が7.7%に加速して1兆1,000億ドルに達する見通しだ。
デジタル広告に限ると、2024年に12.4%、2025年には10%それぞれ伸びると予想。同年には広告全体の72.9%を占め、2029年までに76.8%まで拡大するとみている。
一方、オーディオ広告収入は2025年に270億ドルとなり、伸びがほぼ横ばい(前年比0.3%)になると予測。広告付き音楽サービスからの収入を増やそうと奮闘しているレーベルやストリーミングサービスには悲報だと言える。
ストリーミング・オーディオは2024年に2桁成長を遂げ、2029年までの年平均成長率は4.4%に達する予想だ。半面、従来のオーディオが世界広告収入に占める割合は2024年の1.8%から2029年には1.2%に低下するとみられる。それでもオーディオ広告収入全体におけるシェアは60%以上を確保する見通しだ。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「音楽が聴かれる場所は今でもフリー(YouTube、Spotifyの無料会員、TikTok等)が強いので、広告市場の調子と音楽クリエーター側の収入は切って離せない関係にある。今年、世界の広告市場は前年比9.5%増で初めて1兆ドル(約156兆円)を突破する。しかしオーディオ広告収入は2025年に270億ドルで横ばいが予測されており、これが来年以降、課題のひとつになっていく。例えばTikTokは音楽で広告売上が上手く建てられていない。今年後半はTikTokからサブスクへリンクを貼る取り組みが進められたが、発想の転換を含め一層のアクションが求められるようになるだろう」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。
広告・取材掲載