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英政府、AI訓練に著作権保護された作品の使用許可を提案 批判噴出

ビジネス 海外

英政府は12月17日、新たな著作権適用除外の下で、AI企業が著作権で保護された作品を使ってAIモデルを訓練できるようにすることを提案。クリエーターの権利保護を求める運動家たちがこれに反発している。Digital Music Newsなどが伝えた。 

この提案は、クリエイティブな専門家や企業が反対しない限り、テック企業がAIモデルを訓練するために著作権で保護された素材を自由に使用できるようにするというものだ。 

これに対し、書籍出版社たちは「全く検証されておらず、根拠もない」と批判。アーティストの権利を守るキャンペーンを展開するビーバン・キドロン氏は「非常に失望」とした上で、「政府は、年間1,260億ポンド(約24兆8,600億円)の価値がある英国のクリエイティブ部門の創造性と生計を手放すことを協議している」と指摘した。英国のニュースメディア協会(NMA)も、生成AI企業の「責任逃れ」を可能にするとして、反対を表明した。 

クリス・ブライアント・データ保護相は「双方にとってwin-winの提案だ」とコメント。クリエーターと権利者にとって困難で複雑な状況の中で、より大きなコントロールを与えるものであるとした上で「クリエーターにとって新たな収入源となり得る、コンテンツのライセンス供与を増やすことを意図している」と述べた。 

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「イギリス政府が、著作権のある作品もクリエーターが反対しない限りAIの学習に使える法案を出したが、クリエーター側から猛反対を受けている。テック側の使いやすいいわゆるオプトアウト方式だが、生成AIの生む売上がクリエーターにとって十分なものになるのか、その分配の透明性が技術的に確保されるのかも見通しが立っておらず、テックとコンテンツ双方の長期的な成長と相乗的効果に欠かせない『バランス』を見落としている印象だ。音楽の歴史でいうと、音楽サブスクはクリエーター側が許可を出さなければ配信できないオプトイン方式でも成立しているが、成立過程で同様の議論があった」 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。