YouTube、クリエイティブ・アーティスト・エージェンシーと提携 ディープフェイク認識ツールで
YouTubeは12月17日、米国のタレントエージェンシー大手クリエイティブ・アーティスト・エージェンシー(CAA)と提携したと発表した。来年早々に、YouTubeが開発を進めるAI生成コンテンツの検出ツールの試験を開始する。
CAAに所属する「世界で最も影響力のある人物数人」が、自身の肖像を模倣したAI生成コンテンツを識別・管理する技術にアクセスできるようになり、YouTubeにフィードバックを提供する。
CAAは、アリアナ・グランデやビヨンセ、ボブ・ディラン、ブルース・スプリングスティーン、チャーリーXCX、デュア・リパら数多くのアーティストに加え、NBAやNFLで活躍するスポーツタレントの代理人も務めている。
YouTubeはかねて「責任あるAI」への取り組みに積極的だ。昨年に、音楽関連のAIツールの開発でユニバーサル ミュージック グループ(UMG)とワーナー・ミュージック・グループ(WMG)と提携。今年初めには、AI音楽生成ツールの訓練で、世界3大メジャーレコード各社とライセンス供与を交渉していると報じられた。
このほか、自分の声や肖像を模倣したAI生成コンテンツの削除を要請できるようにしたり、アップロード者がAI作成コンテンツのラベル付けをできるツールを導入したりしている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「YouTubeがアリアナ・グランデやビヨンセ、NBAやNFLの著名スポーツ選手と契約する大手タレント・エージェンシーCAAと提携。狙いは彼らの肖像を使ったフェイクニュース、生成AIコンテンツを検知する技術開発を合法的に進めることにある。YouTubeは生成AIで著作権に配慮した開発を一貫して進めており、それはユニバーサルミュージックなど音楽会社が求める、生成AIの生む売上が音楽クリエーター側に還流する新しいエコシステムの構築を目指すものでもある。インターネットの歴史はIT側がグレーゾーンで先行してコンテンツ側が渋々承認することが多かったが、もはやそういう時代が終わった印象。とはいえクリエーターの保護より国力増強を優先して著作権を無視したAI開発を進める国家が出てくる可能性もあり、予断は許されない状況だ」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。
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