VR/MRヘッドセットの出荷台数、2024年は9%増 960万台
台湾の調査会社トレンドフォースは昨年12月19日、2024年の仮想現実(VR)・複合現実(MR)ヘッドセットの出荷台数が前年比8.8%増の960万台になるとの見通しを発表した。
メーカー別に見ると、首位は73%の市場シェアを獲得した米メタ・プラットフォームズの「Meta Quest」。299ドルという手ごろな価格を実現した「Meta Quest 3S」が好調で、全体の出荷台数は前年から11%拡大した。
これにソニーの「PS VR2」(9%)とAppleの「Vision Pro」(5%)が続き、残りの13%は「その他」に割り当てられている。
トレンドフォースは、市場の主要トレンドとして「低価格デバイスの優位性」などを挙げている。AppleはこれまでVision Proでこのトレンドに逆らってきたが、早ければ2026年にも主流モデルを市場に投入する見通しで、競争が増すとみている。
併せて、同年のVision Proの参入により、メタが普及価格帯モデル(Meta Quest 3S)の発売を前倒しし、ハイエンドモデル(Quest Pro 2)の開発中止を決定したと指摘した。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「iPhoneは累計1000万台を突破したのは初代発売の15ヶ月後だったが、Meta QuestやVision Pro、PS VR2など仮想空間ヘッドセットは2024年、年間1000万弱が売れている。メタバースは現在、ヘッドセット不要のゲーム空間で若年層に定着しつつあるが、ゲーム機やスマホなどガジェットの歴史を振り返ると、ヘッドセットが3000万台を超えたあたりから常識が変わってくるだろう。AppleはVision Proの廉価版投入が予測されている。Sonyは今年2025年のCESでクリエイターに特化したXYNを発表したばかり。大幅な軽量化と携帯性を可能にする全固体電池の投入タイミングもこのジャンルの評価を一変させるだろう。その時、スマホの動画視聴で進化が止まっていた音楽ビデオやライブ配信は現世代が想像していないものに変わっていると私は予想している。繰り返すが歴史を振り返ると常識というのは案外かんたんに変わる」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。
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