英国の音楽アルバム相当売上、2024年は10%拡大 フィジカルも20年ぶりプラス
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英国のアルバム相当売上は、2024年に前年比9.7%増の2億50万枚となった。10年連続のプラス。ストリーミング消費は1,996億回と11%伸び、過去最高を更新した。英国レコード産業協会(BPI)とオフィシャル・チャート・カンパニーのデータを基に、Digital Music Newsなどが1月2日伝えた。
ストリーミングは音楽消費全体の88.8%を占め、前年(87.7%)から上昇。オフィシャル・チャート・カンパニーでは5月、週間オーディオストリーミング回数が初めて40億回以上を記録した。
フィジカル(レコード、CD、カセットテープ、その他)は1.4%増の1,737万7,379枚となり、20年ぶりにプラスを回復。レコードは9.1%増の670万枚と17年連続で伸び、CDの減少(2.9%減の1,049万7,151枚)を補った。ただ、CDの落ち込みは2022年の19.4%減、2023年の6.9%減から減速している。
2024年には、オフィシャル・シングル・チャートの大半の週(34週)で女性が首位を獲得。年間トップ20アルバムの半分を、初めて女性が占めた。
オフィシャル・アルバム・チャートでは、20組以上の英国アーティストが首位を獲得。一方、年間上位40曲のうち、英国出身アーティストはわずか9曲にとどまり、最高はマイルズ・スミスの「Stargazing」で12位だった。2019年には、上位40曲のうち19曲が英国アーティストによるものだった。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「イギリスの音楽アルバム相当売上、2024年は好調で前年比9.7%増に。ストリーミングを一定の式でアルバム相当売上に換算しているが既に同国のストリーミング比率は88%を超えている。CDの落ち込みが止まり2.9%減になり物理売上が20年ぶりのプラスになったのも好調の一因。コンテンツとしては女性アーティストの大活躍が貢献したが、売上トップ層の内訳を見るとCharli XCXの他はテイラー・スウィフト、ビリー・アイリッシュ、サブリナ・カーペンターなどアメリカ人が多く、BPIが以前言及した英国音楽の相対的なシェア低下は課題として残る。レーベルとしては英国に強いEMIが王座を奪還した。今回はアルバム相当売上なので全体としてどうなったかは続報を待ちたい」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。
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