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OpenAI、期限内にオプトアウトツール提供ならず AI学習データ使用をクリエーターが管理

ビジネス 海外

米国のOpenAIは、著作権保護されたAI学習データのオプトアウトツールを2025年までに提供するとしていたが、未だ実現していない。著作権侵害の論争から自社を守る上でも大きな役目を果たすとみられていたが、社内では重要視されていなかったようだ。TechCrunchなどが1月1日伝えた。 

OpenAIは昨年5月、クリエーターが自分のコンテンツをAIの学習データにどのように含めるか、あるいは除外するかを指定できるツール「メディアマネージャー」を開発中だと発表。「著作権で保護されたテキスト、画像、音声、動画を識別する」もので、クリエーターの希望を反映させるツールだと説明していた。 

同社はそれ以来、メディアマネージャーいついて公に言及していない。広報担当者は、同年8月時点では「まだ開発中」と語ったが、12月半ばにはコメントを避けた。導入時期や性能など、詳細は依然として不明だ。 

OpenAIの元従業員は「(開発の)優先順位は高くなかったと思う。正直なところ、誰かがそれに取り組んだ記憶がない」とコメント。外部の協業者は、過去にOpenAIとこのツールについて話し合ったことはあるが、最近は動きがなかったと話している。また、このツールに携わっていたOpenAIのある法務メンバーは、昨年10月にパートタイムのコンサルタント職に異動となった。 

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「大手の生成AIは既に海賊版サイトなどを通して著作権のある楽曲などを学習済みなのではないかというニュースを先週、記事で取り上げたが実際、OpenAIやその競合のAnthropic(Claude)は音楽業界の大手企業から訴訟を受けており、クリエーターが自身の作品をAIの学習対象から外すことを可能にするオプトアウトツールの開発をOpenAIもレーベルなどコンテンツ側に約束してきた。だがOpenAIの元従業員によると、社内でも誰が担当しているのかわからないくらい優先順位が低かったということで、この噂がAI業界の実態だという他の事案も出てきた場合、AI関連の著作権法改正はいよいよ本格化していくことだろう。ただデジタルミレニアム著作権法の成立とそれがIT業界にもたらした貢献を本にも書いた経験で言うと、それが即AIの進化を阻む動きとも思っていない。オプトアウトは2001年にサブスクが誕生したとき音楽産業でも議論されたなつかしい話題でもある」

 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。