Spotify、インド事業の黒字化に苦戦 赤字は縮小
Spotifyのインド法人は、2023/2024年度に14億3,000万ルピー(約25億7,000万円)の純損失を計上した。売り上げが急増し、赤字幅は1年前の34億3,000万ルピーから縮小したものの、黒字化が難航している。インドの調査会社Toflerのデータを基に、Digital Music Newsなどが1月9日伝えた。
営業収入は、93%増の32億1,000万ルピー。うち、サブスクリプション収入は90%、広告収入は114%それぞれ伸びた。
月間アクティブユーザー数(MAU)は7,000万人に拡大。ユーザーは1日当たり平均1.44時間を音楽ストリーミングに、同53分をポッドキャストにそれぞれ費やしている。利用者の63%が男性、37%が女性。年齢層は63%が25〜44歳超、37%が16〜24歳となっている。
インド法人の主な事業は、Spotifyのプラットフォームとサービスへのアクセスをインド国内のユーザーに提供することで、広告スペースの販売やマーケティング活動も行っている。総資産は前年から76%増加したという。
一方、Spotify全体では、2024年第3四半期(7〜9月)の営業利益が4億5,600万ユーロ(約743億4,000万円)となり、1年前の3,200万ユーロから大きく改善。通期では、初めて黒字を計上できる見通しとなっている。株価は12月4日に、過去最高の1株当たり500ドル超をつけた。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「IMFによると今年日本のGDPを超えるインドだが、オンデマンド・ストリーミングの総量はアメリカに次ぐ世界2位。13年前、”インドのSpotify”ことSaavnを連載で紹介したが(なつい…)、本家Spotifyもインドで頑張っており、月間アクティブユーザー数は7000万人に到達。JioSaavnは1億超なので比較するとかなりシェアを伸ばしてきた。だが音楽=YouTubeの国で、基本無料がとにかく強いのでまだまだ黒字化は遠く、純損失は2023/2024年度に14億3,000万ルピー(約25億7,000万円)。とはいえそれはフロンティアが開けているということでもあり、先進国で音楽サブスクの成長が鈍化した今、音楽産業にとってもインドは大事な成長領域になっている。」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。
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