ユニバーサル ミュージックなど、著作権侵害の訴訟が前進 大手AIのAnthropicに対し
ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)など3社が、米AI新興企業Anthropic(アンソロピック)を相手に起こした著作権侵害の訴訟で、両者が一部で合意に達したことが分かった。 Music Business Worldwide(MBW)などが1月6日伝えた。
UMGおよびアブコ(ABKCO)ミュージック&レコーズ、コンコード・ミュージック・グループは2023年、Anthropicがケイティ・ペリーやローリング・ストーンズなどを含む主要アーティストの少なくとも500曲の歌詞を基に、AIチャットボット「Claude(クロード)」を訓練したと主張。侵害1件につき15万ドル(約2,300万円)の損害賠償を求めている。
裁判所は今回、AIが生成した歌詞の保護措置または「ガードレール(安全対策)」の導入を承認。Anthropicは、現行のAIモデルにおいてさまざまな保護措置を維持し、将来の大規模言語モデル(LLM)や製品提供においても同様の保護措置を実施することが求められる。
UMG側は、裁判所の決定に満足感を示すとともに、Claudeによる歌詞の無断複製に対する自らの主張が認められたとみなしている。その一方で、Anthropicが将来のAIモデルの訓練に出版社の歌詞を使用することの阻止を求める仮処分の申し立てで、法廷闘争が続いていることを強調した。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「成AIが歌詞を無断学習している件の裁判で今月、エンタメ産業に今後影響が出そうな結果が出た。まずAnthropic(Claude.ai)がケイティ・ペリーやローリング・ストーンズなどユニバーサルミュージックの主要アーティストの少なくとも500曲の歌詞を無断で学習させていたことを認めた。次に、裁判所がAIが生成した歌詞の保護措置または「ガードレール(安全対策)」の導入を承認した。これが稼働すればAIが著作物を学習した際、ミュージシャンなど権利者に使用料を還元する土台が出来る。原告のユニバーサルミュージックなどが求めているのがそうした世界で、ChatGPTに無断で記事を学習された大手報道社やStable Diffusionに集団訴訟を起こした漫画家などが求めている世界でもある。私も歌詞生成では使ってないがClaude.aiを愛用しているし(CSVの処理とか情報源のリスト化とか超便利)、作家でもあるので、自分の使用料がちゃんと権利者に分配されて気持ちよく使わせてもらいたいと思っている」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。
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