英政府、「ダフ屋の撲滅計画」発表 転売価格の上限設定など
英国政府は1月10日、「強欲なダフ屋を撲滅し、ファンに力を取り戻す計画」を発表した。チケット転売をより公正なものにするためのさまざまな選択肢を模索するパブリックコンサルテーション(公開協議)を開始する。
この協議では、転売時の値上げ幅を元の価格から最大30%までとすることや、チケット再販売業者が出品できる枚数を制限すること、新たなライセンス制度の導入や罰金上限(5,000ポンド。約96万円)の引き上げといった二次流通プラットフォームに対する規制強化などについて検討する予定だ。
これと併せて、需要に応じて価格を変動させる「ダイナミックプライシング(変動価格制)」など、ライブ・イベント部門における価格設定慣行に関する「根拠に基づく情報提供の照会(Call for Evidence。専門家などへの情報問い合わせ)」を開始した。
これらの措置について、同政府は「組織化されたダフ屋が膨大な数のチケットを高値で転売するのを防ぎ、産業規模のダフ屋を抑制するものだ」と主張。同国のライブミュージック業界団体であるライブはこれを歓迎している。
英競争当局(CMA)の分析によると、二次市場で販売されるチケットは、一般的に元値の50%超が上乗せされており、6倍の価格で転売されているケースも見つかっている。同国の通信事業者ヴァージン・メディアO2の調査では、ダフ屋が音楽ファンに年間1億4500万ポンドの損失を与えていることが分かった。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「ダフ屋もDXの時代だが、オアシス復活ライブで一時期、値付け2400万円まで主に転売チケットが高騰した問題を受け、イギリス政府は強欲なダフ屋を撲滅し、ファンに力を取り戻す計画」を発表。転売の値上げ幅制限、再販できる出品枚数の制限、転売ライセンス制度、2次流通PFの規制など、デジタル時代に合ったチケット転売対策の議論をパブリックコンサルテーション(公開協議)のかたちで進める。件のオアシスのチケットでは詐欺が続出し一人平均7万円の被害が出ている。ダフ屋が英国の音楽ファンにもたらす損失は年間1億4500万ポンド(280億円)とされる。日本でもいずれ参考にされる法案が通ると予想している」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。
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