サブスクはインディーズにとってプラスか Luminate年末レポートを分析
米国のエンターテインメント業界向けデータ会社Luminate(ルミネイト)が1月16日に公表した2024年の年末レポートについて、音楽業界ニュースサイトのHypebotが、インディーズ視点からポイントをまとめている。
同レポートは、インディーズやDIYアーティストのロングテール(膨大な音楽カタログ)を含む音楽エコシステム全体をデータに基づいて調査したもので、ロングテールによる圧倒的な競争と機会の縮小が浮き彫りとなった。
<良い点>
・ライブのオーディエンスと収入の増加:スーパーファンの90%と音楽ファンの59%が、対面ライブに参加することでアーティストと関わっている。
・DTC(消費者への直接販売)売上:アーティストにとってはストリーミングよりも収益性が高い。初週アルバム売上(販売とストリーミング)の31.9%を占める。
<悪い点>
・音楽ストリーミングサービス(DSP)にアップロードされる録音物は1日当たり平均9万9,000曲。1年前の10万3,500曲からわずかに縮小した。
・オーディオストリーミングサービスで利用可能な楽曲数は、2024年末時点で2億200万曲に上る。
<醜い点>
・年間再生回数がゼロ〜10回だったのは9,320万曲で、全体の46%に当たる。Spotifyは昨年、過去12カ月の再生回数が1,000回に満たない楽曲へのロイヤリティー支払いを停止した。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「ストリーミング時代はインディーズ・アーティストにプラスなのか? 先週、年間再生回数がゼロ〜10回だったのは9,320万曲で全体の46%というLuminateのデータを紹介したが、楽曲を世に出しやすくなった一方で、一日10万曲近い膨大なアップロードのなか曲が埋没するリスクが増大。それを避けるためヒントはやはりストリーミング→ライブ来場→スーパーファンの流れの確立とHypebotが分析していたのでピックアップした。物販だけでなく新アルバムのDTC(消費者への直接販売)が大事になる。その売上は初週アルバム売上の31.9%を占める。Spotifyが日本に上陸する10年以上前から言いまくってることだが、日本の中堅以下の売上のアーティストは世界的にインディーズ級で考えるべきで、そうするとアルバムをストリーミングとは別に先行販売するのが業界全体としてみるとやはり合理的だと改めて思う」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
広告・取材掲載