Spotify、ビジネスの自主性が加速も MIDiAが「Spotify 3.0」予測

英国の音楽専門コンサルティング・ファームであるMIDiA Reserchが、 Spotifyのビジネス構造の変遷を踏まえ、次なる姿(Spotify 3.0)を予想。当初の「権利者のために運営される音楽サービス」から、音楽業界を超えたコンテンツプラットフォームに成長するとみている。
<Spotify1.0>(初期)
コンテンツ:単一フォーマット(アーティスト楽曲)、第三者のコンテンツ、1日に4万5,000曲が追加
キュレーション:人力、基礎的なパーソナライゼーション、クリエーターはコンテンツ提供者/権利者
ビジネス面:単一のライセンス契約の枠組み、固定のコンテンツコスト、低収益性
<Spotify2.0>(現在。上場企業として収益性向上が求められるように)
コンテンツ:複数フォーマット(オーディオ、動画、AI、フェイクアーティスト)、自社または第三者のコンテンツ、1日に10万曲が追加
キュレーション:アルゴリズム主導、高度なパーソナライゼーション、クリエーターはコンテンツ提供者/権利者/顧客(ディスカバリーモード)
ビジネス面:複数のライセンス契約の枠組み、可変のコンテンツコスト、より高い収益性
<Spotify3.0>(今後の予想)
劇的な変化ではなく、継続的な進化を前提とする場合、ユーザーエクスペリエンス、コンテンツ戦略、商業モデルを通じて、さらに自主性が高まることが予想される。
・音楽以外のコンテンツにさらに重点を置く(番組編成やキュレーションを通じて)
・従来の権利者以外の音楽により重点を置く(ゴーストアーティストや自社開発モデルを含む生成AI)
・バリュー・プロポジション(顧客に提供する価値の組み合せ)のフラット化が進行み、ユーザーの決定はアルゴリズムに依存する(どの音楽を聴くかだけでなく、その時間帯に適したコンテンツが音楽であるかどうかさえも)
(文:坂本 泉)
榎本編集長「ストリーミング2.0というキーワードを記事で紹介して軽くバズったが、今回はSpotify3.0というキーワードの提案があったので紹介。1.0はただの聴き放題。2.0は最近のSpotifyで、音だけからMVやアニメGIF採用へ、楽曲の埋没対策、アルゴリズム・マーケティングなど音楽業界の現場では常識となりつつある話。3.0は音楽以外のコンテンツへの進出、生成AIのビジネス化、おすすめが時間帯にも対応などが予測されている。個別には記事で扱ってきたことだがこうしてまとめると時代の推移を改めて感じる」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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