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DeepSeekショックで音楽側も「著作権対応に注視を」 Music Ally

ビジネス 海外

中国のAI新興企業DeepSeek(ディープシーク、深度求索)の「低コスト」生成AIサービスの勃興(ぼっこう)が大きな混乱をもたらす中、Music Allyは1月28日、音楽分野の観点から「中国から登場する新しいAI音楽モデルと併せて、中国政府が著作権問題にどう取り組むかに注目してほしい」と訴えた。 

同社は、かつて中国のレコード音楽市場は、政府が突然取り締まりを開始するまで、無料の非ライセンスサービスによって支配されていたと指摘。これらのサービス、特に中国最大の音楽配信サービス運営会社テンセント・ミュージック・エンタテインメント・グループ(TME)は、既にライセンス・エコシステムの中でAI音楽を模索しているが、今後、中国から「DeepSeekのようなAI音楽サービス」が出現した時、「権利者たちは、米国とのAI分野での戦いが繰り広げられる中で、音楽家の保護が同国政府の優先事項から外れてしまわないことを望むだろう」との見方を示した。 

併せて、音楽生成AIサービスを巡っては既に、2024年の初め時点では音楽業界ではほとんど注目されていなかったSunoとUdioが、同年6月にはライセンス契約なしに著作権で保護された音楽を訓練に用いている疑いがあるとして全米レコード協会(RIAA)が提訴する事態へと急速に発展したケースがあると警鐘を鳴らした。 

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「格安で大手に匹敵するAIを開発し「DeepSeekショック」を起こした中国だが、その手法は既存の大手AIと問答を繰り返して学習させる、いわばなりふり構わないスタイル。とはいえアメリカの大手生成AIも軒並み無断で著作権のあるコンテンツを学習させてレーベルや新聞社と裁判になっているが、判決が出れば著作権に則った対応が必要になる。一方、中国政府はMusic Allyの記事にある通り、アメリカに勝つために著作権よりもAI学習を優先させる可能性がある。実際、中国版Google検索のBaiduはまずmp3検索で人気を得て軌道に乗り、その後、中国政府が自国コンテンツを育成するために著作権の保護を進めるという二段階戦略を取って成功している。私もAIの連載をしていた関係上、「生成AIで著作権保護を進めても実効性はあるのか?」という質問をここ一、二年よく受け、「先進国で判例や法改正があっても中国政府がAI開発を優先して著作権を軽視した場合、対応できない」と答えてきたが、いよいよそれが現実の課題になってきた」

 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。