大手レコード会社のSpotify市場シェア、再び縮小 アーティスト中心モデルで楽曲使用料は増加?
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米国証券取引委員会(SEC)に提出された年次報告書(20-F)によると、世界3大メジャーレコード会社とインディペンデントのデジタル音楽ライセンスパートナーであるMerlin(マーリン)がライセンスしたコンテンツは、2024年にSpotifyで再生された全楽曲の71%を占めた。前年から3ポイント低下。2017年の87%から毎年縮小している。
なお、この数字は、世界3大メジャーレコード会社とマーリンによって配信/代理された音楽の全再生を集計したもので、マーリン会員でSpotifyと独自契約を結んでいるインディーズ事業者(DistroKidやUnitedMasters)は含まれない。
これについてMusic Business Worldwide(MBW)は、BMGの数字が含まれていないことや、「マーリン」の数字にどの会員企業が含まれているのか、アーティスト中心モデルによる収益構造の変化といったことに留意すべきと指摘している。
Spotifyは昨年、過去12カ月の再生回数が1,000回に満たない楽曲へのロイヤリティー支払いを停止。1,000回未満の楽曲の所有者に支払われるはずだった分は、1,000再生を超えた楽曲の支払い分に振り向けられる。つまり、大手の得意分野である「より人気のある楽曲」に資金が流れるため、今後も大手がアーティスト中心モデルを追求することになるとみている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「大手レコード会社のSpotify上での再生数のシェアが年々下がっている。三大メジャーと欧州インディーズ連合のマーリンの楽曲がSpotifyで再生された割合は2017年の87%から2024年には71%に縮小。マーリンはインディーズ連合といえどイギリスの大手レーベルなどが多数参加している。記事にあるとおり、BMGの数字が入っていないなど留意点はあるものの、以前も紹介したが世界の音楽売上でメジャーレーベルが占める割合は往時の7割から最近は6割と年々、下がっている。メジャーレーベルは対策としてSpotifyと「アーティスト中心の支払いモデル」を推進。年間再生数1000回未満の楽曲への支払いを止め、その分を人気アーティストへ回す方式に変わっている」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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