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シンクパワーとレコチョクが和解成立、同期歌詞データサービスの利用に関する契約締結

ビジネス 音楽業界

シンクパワーとレコチョクは、2025年2月12日付で同期歌詞データサービスの利用に関する和解合意書を締結した。

本和解をもって、シンクパワーはレコチョク、およびソケッツを被告とした訴訟において、レコチョクを被告から取下げ、レコチョクは同取下げに同意した。

シンクパワーは、2020年にレコチョクが提供している音楽配信サービスで利用している同期歌詞データサービスにおいて、開発元であるソケッツが、シンクパワーが開発した同期歌詞データを不正利用しているとして、ソケッツならびにレコチョクを東京地方裁判所において提訴。本訴訟において、レコチョクはソケッツ提供の歌詞サービスの利用者という立ち位置だったが、ソケッツは一貫して「流用の事実はない」と主張し、レコチョクは業務委託先であるソケッツの説明を全面的に信頼し、裁判での審理を進めてきた。

和解に至った経緯および背景として、レコチョクはソケッツの同期歌詞サービスの開発および運用に関わっておらず、サービス利用者としての立場であること。5年にわたり訴訟が長期化し、今後も終局が見えず真偽が判明しないなか、ソケッツがシンクパワーのAPIに大量にアクセスをしていたことが判明し、ソケッツの同期歌詞データサービスへの信頼性に対する懸念が生じたこと。

以上の経緯を鑑みた結果、レコチョクは、終局が見通せない本訴訟を継続するよりも、自社の音楽配信サービスを含めた今後のビジネスの発展のためにも、シンクパワーと和解するべきと判断し、シンクパワーへ和解を提案し、双方の合意に基づき和解が成立した。なお、本和解に伴う金銭の支払いは一切発生していない。

本和解に伴い、レコチョクはソケッツ開発の同期歌詞データサービスの利用を終了し、シンクパワーの同期歌詞データサービスの利用を開始する。

シンクパワーとレコチョクは「本契約は、このたびの和解に基づく新たな取り組みであり、両社は今後さらなる発展を目指し、顧客提供価値の向上の提供に努めます。またレコチョクは、シンクパワーとソケッツとの間で継続する訴訟の解決に向けて、可能な対応、協力を行って参ります。」としている。

レコチョクからシンクパワーに提出した確認事項について

  1. レコチョクとして、今回和解の提案を行ったのは、レコチョクがシンクパワーを相手方とする仮処分の申立てから起算して6年が経過した状況の中、さらにシンクパワーを原告、ソケッツ及びレコチョクを被告とする訴訟手続が継続することが確定的となり、その終局が見通せない中、自身のビジネスに対する悪影響が生じることを避けるためである。なお、シンクパワーが2024年5月に提出した、元ソケッツ役員石川鉄男氏がその保有するIPアドレスからシンクパワーAPIにアクセスしたログ(ソケッツはそのアクセスを認めた。)につき、レコチョクはそのアクセスを知らなかったものである。
  2. レコチョクとしては、シンクパワーから提出された誤字や表現が同一である等の証拠については深刻に受け止めていたものの、ソケッツが開発したという同期歌詞データ自動生成システムについて、レコチョクとして、技術的な観点から検討する手段を有していないことから正確な確認はできず、ソケッツの説明を信用したことを認める。
  3. ソケッツが2018年10月17日にマスメディアを含む関係者向けに開催した同期歌詞データ自動生成システムについての説明会は、あくまでソケッツが主体として開催したものであり、レコチョクは全く関与していない。
  4. ソケッツが原告となった裁判(東京地方裁判所 事件番号:平成30年(ワ)第35218号)の第4回弁論準備手続期日(平成31年3月1日)において、シンクパワーは裁判所から、ソケッツが前回期日(同年2月1日)に裁判所から受けた和解勧告につき、「レコチョクから和解不可と言われたことを理由に和解勧告に応じなかった」との説明を受けたとのことであるが、これは事実と異なる。レコチョクは、ソケッツに対し、「当該裁判はレコチョクが主体ではないので、ソケッツに判断は任せると返答した」のみである。
  5. 2018年5月25日付けレコチョクによる仮処分命令申立事件の証拠「疎甲11」として提出された当時のレコチョク常務執行役山崎浩司による陳述書は、レコチョクとして技術的な観点から正確な確認はできず、ソケッツの説明を信頼し提出したものであることを認める。

Musicmanでは予てより係争中であったシンクパワーとレコチョクとの問題について、度々取材を重ねてきた。今回の和解となった経緯についても、近々両社にインタビュー取材を申し込む予定である(Musicman発行人:屋代卓也)。