Amazon、著作権侵害で提訴された音楽生成AI「Suno」と提携 生成AI版Alexaに統合

米アマゾン・ドット・コムは2月26日、生成AIを搭載した新世代の音声アシスタント機能「Alexa+(アレクサプラス)」を発表。米新興企業Sunoの音楽生成AIサービスが統合され、ユーザーは簡単な音声プロンプトでAI楽曲を生成できるようになった。
「シンプルでクリエイティブなリクエストを、ボーカル、歌詞、楽器を含む完全な曲に変えられる」という。
Sunoを巡っては、ライセンス契約なしに著作権で保護された音楽を訓練に使用している疑いがあるとして、昨年6月に全米レコード協会(RIAA)が提訴。今年1月には、ドイツ音楽著作権協会(GEMA)も訴訟を起こした。
Sunoは昨年8月の裁判所への回答文の中で、レコード会社の著作権で保護された録音物を使用したことをほぼ認めた。同社はその後、戦略アドバイザーに、グラミー賞を受賞したプロデューサーのティンバランドを任命した。
一方のアマゾンは、昨年12月にユニバーサル ミュージック グループ(UMG)と提携を強化。契約には「非合法なAI生成コンテンツに共同で取り組む 」ことが盛り込まれている。
Digital Music Newsは関係者の話として、アマゾンがSunoとの提携を音楽パートナーに予告しなかったと伝えている。
Alexa+のその他の機能には、画像生成、新しい音声フィルター、スマートホーム操作、Uber予約、チケットマスターとの統合などがある。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「『Alexa、AIで雨の日にぴったりの曲を作って』。Amazonの新しいAlexa+で音楽生成AIのSunoが利用できるようになる。Sunoの品質はプロも驚きの声を上げているが著作権で保護された音楽を無断学習していたことを裁判で認めており、DMNによるとAmazonは音楽会社のパートナーに今回のSunoとの提携を事前に伝えていなかったということで何かありそうではある。ただ著作権のある音楽の無断学習はSunoに限ったことではなく、大手AI企業は「インターネットすべて」をあ学習材料にしている。すべてということはそこに海賊版サイトやサブスクのAPIも当然含まれており、サブスクとスマホの登場で一度は解決した、ファイル共有以来の音楽とITの対立が起きかねない状況が続いている。どのようなイノヴェーションが待っているかは想像が付かないが、ファイル共有のときはNapsterの共同創業者自身がサブスクと携帯電話の融合でいずれ違法DLは解決すると2000年に既に予測していたのは私の本で書いたとおりだ」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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