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TikTokの存続、音楽業界の関心が薄い理由 タレント発見は高度なデータ分析に移行

ビジネス 海外

Digital Music Newsは2月24日、多くの音楽業界人がTikTokの米国事業の存続に関心がないとした上で、この背景には、楽曲使用料を巡る業界との対立に加え、タレント発見ツールとしての魅力の低下があると指摘した。 

音楽データ分析ツールを手がけるChartmetricのアナリストであるドメニコ・ランダッツォ氏は「TikTokのゴールドラッシュは衰退している」とコメント。Instagramのエンゲージメントやユーザー作成のストリーミング・プレイリストのような、より信頼性の高い成功指標を指摘している。 

音楽フィンテック企業Duettiがデータを掘り下げると、TikTokでバイラル(シェアなど口コミによる情報拡散)現象が発生しているわずか1%未満の楽曲群の中でも、Spotifyのようなデジタル・サービス・プロバイダー(DSP)で長期的にストリーミングが伸びたのは15%程度だと分かった。 

Chartmetricは早々に、音楽業界の重役らが次世代タレントの見極めとして、TikTokのバイラル競争から、洗練されたデータ分析に移行していると判断。2年の調査を経て昨年、データ分析を用いて新進アーティストを特定する新たなタレント検索ツールをリリースした。 

このツールは1,100万組以上のアーティストのキャリアから共通する「シグナル」を調査し、約40万組のアーティストの成功可能性を評価。フィルター機能によるニーズに合わせた検索などもできる。Chartmetricは「成功を予測できる単一の指標はない。われわれが特定した各シグナルは、多くのサービスからの複数のデータポイントを統合したもの」で、「これらの指標を文脈的に理解することが重要」だと述べた。 

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「TikTokは言うほど音楽サブスクでの再生に影響がないのでは、というデータ。イギリスのチャート会社、ChartmetricによるとTikTokでバイラルが起きたわずか1%の楽曲群に絞っても、Spotifyなど音楽サブスクで長期的に楽曲の再生を伸ばしたケースは15%程度。むしろInstagramやユーザー作成のプレイリストの方が指標として信頼できると判断し、音楽業界のトップ層もTikTokへの評価を見直しているという。一方、各国のBillboardチャートにデータを提供しているLuminate社は、グローバルチャートTOP200のうち、チャートより先にTikTokでバズったケースは85%というレポートを出している。おそらく瞬発力はTikTokだが、曲を何度も再生してもらわないと売上がたたない時代なので、Instagramやプレイリストで長期的影響も伸ばす、という運用がよいのだろう。ChartmetricはTikTokに依存しないタレント発掘のツールを開発している。TikTok存続については代替が出揃っているというのもある」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。