英国アーティスト、年間グローバル・チャート上位にランクインせず 20年以上ぶり

国際レコード産業連盟(IFPI)が公表した2024年の「グローバル・アルバム・チャート」「グローバル・シングル・チャート」のトップ10に、英国アーティストがランクインしていないことが分かった。英国のアーティストがシングル、アルバムのいずれにもランクインしなかったのは2003年以来のこととなる。
2022年には、グローバル・シングル・チャートの上位20作品のうち7作品をHarry StylesやGlass Animalsら英国アーティストが占めていた。
2024年分の英国アーティストの筆頭は、Artemasの「i like the way you kiss me」(シングル15位)だった。アルバム上位20作品に英国出身者は入っていない。
2024年のトップは、シングルがBenson Booneの「Beautiful Things」、アルバムがTaylor Swiftの「The Tortured Poets Department」だった。
アルバム上位10作品のうち、米国が6作品、韓国が4作品を占めた。シングルはアイルランドのHozier(6位)を除き、全て米国出身アーティストだった。
BPIのジョー・ツイストCEOはBBCに対し、英国のレコード会社が新人アーティストの育成で「素晴らしい仕事」をこなしていると主張する一方で、「競争の激しいグローバルな音楽経済の中で才能を開花させるのは、間違いなく難しくなっている」とコメントした。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「日本のレコ協も参加する国際レコード産業連盟(IFPI)の2024年の「グローバル・アルバム・チャート」「グローバル・シングル・チャート」でイギリスのアーティストがTOP10に入っていないと分かった。以前、イギリスのチャートを分析するChartmetricでも似た報告があったが、売上ベースのIFPIチャートでも確認されたことになる。ChartmetricのTOP50を見ると、レジェンド級アーティストは米国がマイケル・ジャクソンのみで、イギリスはブラック・サバス、ジョージ・マイケル、ポリス、ツェッペリン、ビー・ジーズ、ピンク・フロイド、ストーンズ、ビートルズ、エルトン・ジョン、クイーンなど14組。聴き放題は過去のカタログを活性化するメリットを享受しているともいえるが、彼らレジェンドもかつては新人だったわけで、音楽輸出大国イギリスで新進アーティストがここまで伸び悩んでいるのは音楽不況で新人への投資額が減った2003年以来となる」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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