音楽売上世界一のUMG、第4四半期も増収増益 有料配信が好調

米ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)は3月6日、2024年第4四半期(10〜12月)の売上高(恒常為替レートベース)が前年同期比7.9%増の34億3,900万ユーロ(約5,527億1,600万円)になったと発表した。ストリーミング(※無料ストリーミングにおける広告売上の分配)の落ち込みを、サブスクリプション(※有料ストリーミング配信)の堅調な伸びが補った。
売上高を部門別に見ると、音楽ソフトは25億6,600万ユーロで実質6.8%増加。うち、サブスクは9.0%増の12億2,700万ユーロ、ストリーミングは4.1%減の3億7,500万ユーロだった。ダウンロード・その他デジタルは37.5%、フィジカルは3.4%それぞれ拡大。ライセンス・その他は12.4%増えた。
音楽出版は実質7.0%伸び、マーチャンダイズ・その他は23.4%拡大した。
なお、全体の売上高には、DSPのキャッチアップ収入および訴訟の和解金による恩恵が含まれる。これら一過性の増収要因を除いた売上高は実質6.1%増加した。
EBITDA(利払い・税引き・償却前利益、特別損益除く)は実質19.1%増の7億9,900万ユーロ。これをベースとした利益率は23.2%と、1年前から2.1ポイント改善した。
通期で見ると、売上高は実質7.6%増の118億3,400万ユーロ。調整後のEBITDAは26億6,100万ユーロと13.8%伸びた。
ルシアン・グレンジ会長兼CEOは「2024年は(サブスク収入の成長やスーパーファンの収益化などの)戦略的イニシアチブが大幅に進展した」とコメント。アーティスト中心の原則、「ストリーミング2.0」、責任ある効果的なAIへのアプローチを推進することで、アーティストと株主の両方に価値を創造し続ける」と述べた。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「世界シェアトップのユニバーサルミュージックの2024Q4は音楽ソフト全体が6.8%増、うちサブスクは9.0%増、ストリーミング(広告)は4.1%減、ライセンスその他が12.4%で、グレンジ会長が年初に定めた人気アーティストに有利なアーティスト中心モデルでの音楽配信等との再契約、スーパーファン・プラットフォームへの注力が数字にしっかり実った形だ。他にグレンジ会長は主にYouTube(つまりGoogle)と生成AIで連携を強化しているが、これは長期的投資の部類に入るので、収穫は10年後ぐらいになるだろう。他に進んでいるのはディストリビューターへの投資やグローバルサウス(インド、南アジア、南アフリカ等)への投資となるがこれは中期的なので数年以内に数字に出てくると思っている。これらはUMGに限らずグローバルメジャーでほぼ共通の戦略となりつつある。日本に関係ないかといえばそうでもなく、例えばこれから本格的な輸出の始まるJ-POPはグローバルサウスで人気があるし、ディストリビューターから得たデータを通じて現地に提携先を見つけていくことになるし、スーパーファン・プラットフォームの元となるファンクラブ・ビジネスは日本が作り上げたものでこれからは国際的な運営も視野に入ってくるだろう」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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