ソニー・ミュージックなど、AIライセンシング・プラットフォーム「Vermillio」に出資 総額24億円

AIのライセンシングと保護プラットフォームを手がける米Vermillioは3月3日、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)とDNSキャピタルが主導する資金調達ラウンドで1,600万ドル(約23億6,600万円)を確保したと発表した。調達した資金は事業拡大に充てる方針だ。
Vermillioは自社を「知的財産を安全にライセンスし、知財所有者とタレントが安全に生成AI技術に関与できる」初のAIプラットフォームだと主張している。同社の「TraceID」ツールは、氏名、画像、肖像、知財の使用についてオンラインコンテンツを監視。自動的に削除要求を送信し、ライセンスされたコンテンツの支払い管理などもできる。
共同創設者のダン・ニーリー氏は、タイム誌の「AI業界で最も影響力のある100人」に選ばれ、米国の「NO FAKES法案(本人の同意なしに、声や肖像をまねた作品を作成することを禁じる法案)」の導入に重要な指針を与えたと言われている。
Vermillioは2023年、SMEと共同で、The OrbとDavid Gilmourのアルバムキャンペーンを展開。ファンにAIのリミックスやアートワークの制作機会を提供した。ソニー・ピクチャーズとも映画「SPIDER-VERSE」で協業している。
SMEのグローバルデジタルビジネス担当社長であるデニス・クッカー氏は「弊社はタレントの創造性と目標を高め、彼らの作品を保護し、ファンを興奮させ、新たな商業的可能性を生み出す、責任ある生成AIのユースケースの開発に注力している」とコメントした。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「ソニー・ミュージックがAIに投資。AIのライセンシングを手がける米Vermillioに24億円(1,600万ドル)を出資した。既にVermillio社はソニー・ミュージックのアルバム・キャンペーンやソニー・ピクチャーズの映画スパイダーマンの制作に参加している。私の連載でも扱ったが今後、AIはかつてのレコードやCDのようにアーティストが作品を複写する媒体自体に変わっていく。そうした「アーティストAI」の時代が到来する基盤として、Vermillio社のTraceIDツールのような「ライセンシングAI」の開発は進んでいくだろう」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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