TuneCore親会社のBelieve、2024年通期は増収増益 初の年間再生8,000億回を突破

TuneCoreを傘下に持つ音楽ディストリビューター最大手のbelieve(フランス)は3月13日、2024年12月期(1〜12月)の売上高が9億8,880万ユーロ(約1,618億660万円)となり、前年比12.3%増加したと発表した。EBITDA(利払い・税引き・償却前利益、特別損益除く)は、6,710万ユーロと33.5%伸びた。
売上高は恒常為替レートベースで11.5%拡大。部門別に見ると、プレミアム・ソリューションズ(レーベル・アーティスト向けのプレミアムサービス)は11.2%、オートメイテッド・ソリューションズ(DIYアーティスト向けディストリビューターの「TuneCore」)は15.9%それぞれ伸びている。
デジタル音楽売上(DMS。アーティストやレーベルにロイヤリティーを支払う前に、デジタルストア・パートナーやソーシャルメディア・プラットフォームから生み出される収益)は13億1,170万ユーロと8.3%伸びた。
有料ストリーミング配信による収入は、年間を通じて堅調に推移したものの、複数の大手デジタル・プラットフォームが2023年後半に値上げしたプラス効果は薄れ、期待された新たな値上げの波は起こらなかったと指摘。一方で、広告付き無料ストリーミング配信は、多くの新興市場、特にアジアが回復しなかったとしている。
全世界の年間総再生回数は初めて8,000億回を突破した。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「音楽サブスクが普及して、そこへ楽曲を配信するディストリビューターの力がますます伸びているが、TuneCoreを傘下に持つディストリビューター最大手Believeの昨年の決算はが9億8,880万ユーロ(約1,618億660万円)、前年比12.3%増で利益のEBITDAは33.5%増と素晴らしい決算になった。世界の音楽ソフト売上が6.2%増(MIDiA調べ)と比べてもかなり良く、内訳を見るとTuneCoreなど個人向けのディストリビューションが15.9%増と売上を牽引している。しかしデジタル音楽売上自体は8.3%と世界の平均値より多めという程度に留まっており、大きく伸びなかった理由としてサブスクの値上げが限定的な広まりになったことと、新興市場で重要なYouTubeなど広告ストリーミング売上が特にアジア市場で回復しなかったことが挙げられている。細かく見ていくといろいろなことが分かるので英語を読める人は発表を読むことをおすすめしたい」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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