世界の録音原盤市場、2024年は5.4兆円で6.5%拡大 MIDiA

英国の音楽専門コンサルティング・ファームであるMIDiA Reserchは3月13日、世界の録音原盤収入が2024年に362億ドル(約5兆4,184億円)となり、前年比6.5%拡大したと発表した(※エクスパンデッド・ライツを除くと321億ドル)。伸びは前年の9.7%増から鈍化している。
なお、同社は今回から統計方法を変更。過去分との正確な比較は困難となっている。
ストリーミング収入は6.2%増の222億ドル。前年(10.3%増)から伸びが減速した。売り上げ全体に占めるストリーミングの割合は61.3%と、前年の62.5%から縮小。業界全体の成長に対するストリーミングの寄与率も、2023年の64.6%から58.5%に低下した。
同社は「最近の値上げにもかかわらず、予期されていたストリーミングの収益減速が到来した。再成長に向け、業界の関心はスーパープレミアム層と新たな収益化モデルに向いている」と述べた。
さらに、今後の収益の伸びは、エクスパンデッド・ライツ(拡張権利。グッズなどマーチャンダイジングやスポンサーシップ、ライブ演奏など)に依存するようになると示唆。エクスパンデッド・ライツ収入は41億ドルと17%増加した。売り上げ全体に占める割合は11.3%と、2023年の10%から拡大している。
市場シェアは、非メジャーレーベルが3年連続で拡大。増収率は8.4%増と、メジャーレーベルの5.4%増を上回った。
メジャーで市場シェアを伸ばしたのはソニー・ミュージックグループ(SMG)のみで、前年から700ベーシスポイント増の21.7%。ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)は首位を維持したものの、100ベーシスポイント下げた。
セルフリリースのアーティストも人数・売り上げ共に増加傾向にある。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「世界の録音原盤市場(サブスクやCDなど音楽ソフト)売上は2024年、6.5%増で売上の中心であるストリーミングは前年の10.3%増から6.2%増に鈍化(MIDiA調べ)。この年の世界のインフレ率は5.9%(IMF)ということを勘案するとかなりの成長鈍化で、調査したMIDiA社が「予想通りのサブスクの成長鈍化」と言うように、ここ1年ほど報道されてきた先進国での音楽サブスク・ブームの終焉が形に出てきた印象だ。「非メジャーレーベルが8.4%増でメジャーレーベルの5.4%増を上回る」というのも報道どおりのトレンド。世界の録音原盤市場は日本のレコ協も参加するIFPIのものが最終的な数字として扱われることが多いが、MIDiA社は音楽産業のコンサルティング会社として欧州でも有名で、信憑性は低くはない」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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