世界の音楽ソフト売上、2024年は5%拡大 IFPI

国際レコード産業連盟(IFPI)は3月19日、「Global Music Report 2025」を公表。世界の録音原盤収入が2024年に296億ドル(約4兆4,311億円)となり、前年比4.8%拡大したと発表した。有料音楽配信の伸びが寄与し、10年連続で拡大。3年続けて全地域でプラスを確保した。
ストリーミング収入は7.3%増の204億ドルと、初めて20億ドルを突破。売り上げ全体に占める割合は69%となった。
このうち、サブスクリプション(有料ストリーミング)は9.5%拡大。録音原盤売り上げ全体の51.2%を占めた。有料ユーザーは10.6%増の7億5,200万人に到達。
広告付き(無料ストリーミング)は1.2%伸びた。
フィジカルは48億ドルと3.1%縮小。1年前に14.5%増と大きく伸場していた反動が大きい。売り上げ全体に占めるシェアは16.4%となった。内訳を見ると、CDは6.1%、音楽ビデオは15.5%それぞれ減った半面、レコードは4.6%増と18年連続で伸びている。
演奏権は29億ドルと2.9%拡大。4年続けて伸びた。売り上げ全体に占めるシェアは9.7%だった。
地域別では、全体の40.3%を占める米国・カナダが2.1%拡大。続く欧州は8.3%伸び、アジアは1.3%増えた。中南米は22.5%、オーストララシア(オーストラリア大陸とニュージーランド、その他付近の南太平洋の島々)は6.4%、中東・北アフリカは22.8%、サブサハラアフリカは22.6%それぞれ拡大した。
なお、市場ランキングではメキシコがオーストラリアを抜いて10位に躍り出た。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「世界の音楽ソフト売上、2024年は296億ドル(約4兆4,311億円)で前年比4.8%増だが(IFPI)、これはかなりの減速。当年の世界のインフレ率5.8%を下回るだけでなく、成長率だけ見ても2022年の9.0%、2023年の10.2%から半減している。減速の最大要因は世界市場の四割を占めるアメリカ・カナダ市場の成長率が2.1%に留まったことだろう。アメリカ市場については本日、記事化したRIAAの発表を参照されたいが要はサブスクの成長が止まったことが主因だ。ここ15年は先進国におけるサブスクの普及・拡大が音楽ソフト産業のテーマだったがそれが終わった年だったと言える」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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