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米国の音楽ソフト売上伸び悩み 有料音楽ストリーミング加入者は1億人突破(RIAA)

ビジネス 海外

全米レコード協会(RIAA)が3月18日に公表した年間レコード音楽売上報告書によると、2024年に米国で初めて有料ストリーミング配信の契約数が1億件の大台に乗った。同国の録音原盤市場は、小売りベースで177億ドル(約2兆6,600億円)に拡大し、前年から5億ドル拡大した(卸売りベースは113億ドル)。 

レコード売り上げは18年連続で増加。フィジカルのほぼ4分の3を占める14億ドルに達し、1984年以来の高水準となった。レコードの出荷枚数は4,400万枚で、3年連続でCD(3,300万枚)を上回った。 

ストリーミング配信は149億ドルと4%拡大。3年連続で総収入の84%を占めたものの、伸びは過去5年は縮小傾向だ。サブスクリプション(有料ストリーミング)は117億ドルと総収入のほぼ3分の2を占めた。広告付きオンデマンドサービス(YouTubeや広告付き版Spotify、Facebookなど)からの音楽収入は2%減の18億ドルだった。 

録音原盤市場は卸売りベースで前年比2.7%増と、2024年の米国の年間インフレ率(約3%)よりも低く、実際には全く「成長」していなかったと言える。

これについてMusic Business Worldwide(MBW)は、Spotifyが同年に米国で支払われる年間音楽著作権使用料が「2桁の伸び率を記録する」と主張していること、同年末時点の同社の北米における有料契約者が6,800万人になることなどを理由に、米国におけるストリーミング収入の減速はSpotifyが原因ではないと分析。ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)の幹部は、Apple MusicとAmazon Musicの有料契約者数の伸びに失望していると指摘した。 

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「アメリカの2024年の音楽ソフト売上全体は前年比2.7%増でインフレ2.9%を勘案するとむしろマイナス。内訳を見ると音楽サブスク有料会員が1億人突破 でサブスク売上は前年比4.5%増だが、主力のSpotifyが2023年、2024年に二度値上げして個人会員で前年比8.7%値上げしており、それよりも少ない。ストリーミング広告売上も2%マイナスで、スマホとサブスク普及で成長を続けてきた時代はいよいよ終わった感がある。Spotifyの有料会員数の伸びがアメリカで止まった件は以前に伝えたが、Apple Music、Amazon Musicの伸びもメジャーレーベルから苦情が出るほど悪い。唯一YouTube Musicは好調。いずれにせよグローバルメジャーが新しい成長領域を求めてスーパーファンプラットフォームやディストリ‐ビューター、インディーズのカタログ、地域的にはインドなどグローバルサウスへ投資をするのは危機感からだとこの背景からも分かる。日本も少子高齢化で(これはサブスクの伸び率にも響く)いよいよ海外進出が成長の要と捉えられるようになった。トレンドセッターのアメリカ進出はもちろん大事だが、成長地域のグローバルサウス諸国でJ-POPの認知が高いことも活かしていかなければならないだろう」

 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。