イタリア原盤市場、独仏に次ぐEU3位に 2024年は8.5%拡大

イタリア音楽産業協会(FIMI)は3月19日、2024年の録音原盤の売上高が4億6,120万ユーロ(約752億1,570万円)となり、前年比8.5%増加したと発表した。7年連続のプラスとなり、ドイツ、フランスに次ぐEU(欧州連合)3位の音楽市場に浮上した。
ストリーミング(広告収入とサブスクリプションを含む)は3億810万ユーロと13.5%伸び、売上高全体の67%を占めた。うち、サブスク聴取は17.1%拡大。無料聴取における広告売上の分配は0.4%増と伸びは小幅にとどまった。動画は14.1%増と大きく伸び、オーディオビジュアルコンテンツが音楽消費に重要な要素となっていることを証明した。総ストリーミング数は31%伸び、950億回を記録している。
ダウンロードは12.7%縮小。これを合わせたデジタル売上は3億1,220万ユーロに達し、13.1%の伸びを示した。
フィジカルは2.1%減ったものの、売り上げ全体の13%を占める。このうち、レコードは6.8%増(3,890万ユーロ)と6年連続のプラスで、イタリアは世界8位のレコード市場となっている。
演奏使用料は2.6%増の7,480万ユーロと、総収入の16%を占めた。シンク(映像につける音楽)は4.8%減っている。
音楽輸出額は2,795万ユーロと13.8%伸びた。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「先進国で音楽ソフト売上が伸び悩んでいて、それはサブスクの普及がほぼ終わり成長が鈍化したためだという報道を伝えてきたが、例外もあってイタリアは前年比8.5%増、ストリーミング売上は13.5%増、本日伝えた世界的に成長鈍化の始まったアナログ・レコードも6.8%増、目立つのは動画が14.1%増で「音楽+映像」が特に伸びているのはCD、サブスク、レコードに続くものが何か模索するのに参考になるだろう。音楽輸出額も13.8%伸びている。長い低成長、少子高齢化、移民が少ない、家族社会、伝統重視、サブスクの普及が遅れたなどイタリアと日本は先進国のなかでも似ているところがあり、規模の違いはあれど日本の音楽産業は参考にできるところはした方がよいと思う」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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