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レコード販売が頭打ち? 米国と世界の最新統計が疑問投げかけ

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かねてストリーミングの停滞が懸念される中、Digital Music News(DMN)が最新の統計を基に、レコード減速の可能性を考察する記事を掲載した。 

全米レコード協会(RIAA)によると、アナログ・レコードの売り上げは2024年に18年連続で伸びたものの、出荷枚数は前年比1%増の4,360万枚にとどまった。 

広告なしのストリーミング配信の月額利用料がレコード1枚よりも安い時代にあっては偉業だと言える一方、2024年の米国におけるレコード売上(推定小売価格)が6.9%増の14億4,000万ドル(約2,175億円)であることを踏まえると、商業的な減速が示唆される。 

ただ、長期で見ると、2015〜2024年には158%増と大きく伸びていると強調。特にスーパーファンの需要の高まりを背景に、2020〜2021年だけでも67.3%増えている。 

他にもレコードの伸び悩みを示す証拠として、米国のエンターテインメント業界向けデータ会社Luminate(ルミネイト)のデータを引用。同社は2024年の米国のアルバム売上(レコード、CD、カセットなど)を1%減の5,560万枚と報告しているが、統計方法の変更により、数字が劇的に減少。前年との正確な売上比較が不可能になったとも言われている。  

国際レコード産業連盟(IFPI)によると、世界のレコード売り上げが2024年に4.6%増加。昨年のレコード売り上げは国ごとに様子が異なる結果となった。これには、英国(前年比2.9%増の1億8,900万ドル)、スペイン(3.8%減の3,600万ドル)、イタリア(6.8%増の4,200万ドル)などが含まれる。 

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「密かなブームが続いていたアナログレコードも伸び悩みが始まっている。アメリカではサブスクだけでなくアナログ・レコードの売上も減速。前年比1%増の4,360万枚で2024年、同国の音楽ソフト売上全体は前年比2.7%増より低く、その年アメリカのインフレ率は2.9%だ。世界のアナログ・レコード売上は4.6%増だったが、同年の世界の音楽ソフト売上は前年比4.8%拡大とほぼ同じで、ともに世界のインフレ率5.8%の両方を下回る。レコード、CD、ストリーミングに続く、それらに匹敵する技術革新が音楽媒体でいよいよ待望されるようになるだろう」 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。