中国テンセント・ミュージック、第4四半期は増収増益 高価格帯プランが好調

中国最大の音楽配信サービス運営会社テンセント・ミュージック・エンタテインメント・グループ(TME)は3月18日、2024年第4四半期(10〜12月)の純利益が20億8,000万人民元(約430億5,300万円)となり、前年同期比47.3%増加したと発表した。
総売上高は8.2%増の74億6,000万人民元。ソーシャルエンターテインメントサービス部門・その他の不振(13%減、16億3,000万人民元)が響いたが、音楽配信および広告サービスにけん引されたオンライン音楽サービス部門の伸び(16.1%増、58億3,000万人民元)がこれを補った。
音楽配信の売上高は18%増の40億3,000万人民元だった。12月末時点の有料会員数は1億2,100万人と、13.4%伸びた。
オンライン音楽プラットフォームの月間平均利用者数(MAU)は3.5%減の5億5,600万人。一方で、有料会員1人当たりの月平均課金額(ARPPU)は11.1人民元と3.7%拡大した。高価格帯プラン「スーパーVIP(SVIP)」が好調だった。
TMEは音楽配信サービス「QQ Music( QQ音乐)」「Kugou(酷狗)」「Kuwo(酷我)」のほか、ソーシャルカラオケゲーム「WeSing(全民K歌)」を運営している。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「中国最大の音楽会社テンセント・ミュージックはSpotifyに次ぐ有料会員数の1億2,100万人を持っている。さらにサブスクとカラオケ、投げ銭を組みあせたソーシャルエンタテインメントや、アルバム先行配信やチケット先行販売がある高価格帯プランなど、実は次のステージを目指すSpotifyの先行モデルとなっている。このテンセントミュージックだが、中国政府による投げ銭規制でソーシャルエンタメ売上が落ちたものの、高価格帯プラン(SVIP)が好調で有料会員の8%がこれに入るほど伸びてQ4純利益は前年比47.3%増に。Spotifyは同社の株主でもあるので、この情報は当然持っており、テンセントの成功を見て先行チケットに加えて先行配信も高価格帯プラン向けに検討しているかもしれない。ただ先行配信は音楽サブスクの高価格帯プランよりもアーティスト単位の月額制(スーパーファン/スーパーリスナーPF)に紐づけた方がサブスクの再生単価の低さがもたらした歪みを修正するのに役立つことになる。結構大事なことをさらっと書いたので、ピンときた人はその感覚を大切にしていただければ幸いだ」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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