広告・取材掲載

広告・取材掲載

ユニバーサル ミュージックなど、AI訓練の差し止め請求が却下 対Anthropic訴訟

ビジネス 海外

ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)など3社が、AIチャットボット「Claude(クロード)」を手がける米Anthropic(アンソロピック)を相手に起こした著作権侵害の訴訟を巡り、米連邦地方裁判所は3月25日、Anthropicが将来のAIモデルの訓練に出版社の歌詞を使用することの阻止を求めるUMG側の仮処分申し立てを却下した。 

なお、この判決は、出版社のAnthropicに対する法的請求の一面を取り上げたに過ぎず、1月に下されていたUMG側に有利な判決(ガードレール導入の承認)に影響を与えるものではない。 

判事は今回、出版社側が差し止め命令の前提条件である「回復不可能な損害」を証明できなかったと指摘。また、請求された差止命令の範囲にも懸念も示した。 

併せて、AI訓練の商業的なライセンス供与の枠組みが既に存在することが示唆されていることから、UMG側が最終的に勝訴した場合、金銭的な損害賠償を算定できるだろうと述べた。 

今回の判決を受け、両陣営はいずれも勝訴への自信を示した。 

UMGおよびアブコ(ABKCO)ミュージック&レコーズ、コンコード・ミュージック・グループは2023年、Anthropicが主要アーティストの少なくとも500曲の歌詞を基に、Claudeを訓練したと主張。侵害1件につき15万ドル(約2,300万円)の損害賠償を求めている。 

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「大手AIが著作権のある音楽を学習材料にしていることは公然の事実になりつつあり、Claudeはユニバーサルミュージックなどとの裁判で、著作権のある歌詞を大量に学習材料としたことを認めたが今回、ユニバーサルミュージックが求めた仮処分差し止めの方は「回復不可能な損害を証明できなかった」として裁判所が認めなかった。ただ、既に楽曲を有料でAI側にライセンスする契約が方々で成立していることから、ユニバーサルミュージックなど音楽側が裁判に最終的に勝訴した場合、そのライセンスを根拠に算出した金額で損害賠償は成立しうると判事が述べている。かつてファイル共有を発明したNapsterは著作権侵害で天文学的な賠償命令を受けて倒産している。今回は著作権侵害1件につき15万ドル(約2,300万円)の賠償を求めている」 

 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。