Napster、Infinite Realityが300億円で買収 3DバーチャルコンサートやECなど展開

Napsterが3月25日、没入型テクノロジー企業のInfinite Reality(IR)に買収されることが分かった。取引額は2億700万ドル(約301億9,000万円)。
IRはNapsterを音楽ストリーミング・サービスの枠を超えた、「受動的なリスニングよりも能動的なファンとのエンゲージメントを優先するソーシャルミュージック・プラットフォーム」に生まれ変わらせる計画。
具体的には、コンサートやソーシャル・リスニングパーティーなどを開く仮想空間の構築、グッズ(物理・デジタル)やイベントチケットの販売、AIを活用したカスタマーサービス、コミュニティー管理エージェント、ゲーミフィケーション、eスポーツなどIRが保有する他のエンターテインメント資産との統合などを予定している。
ジョン・ヴィサポラスCEOは留任。「インターネットはデスクトップからモバイル、ソーシャルへと進化し、いまや没入型の時代に突入したが、音楽ストリーミングはほぼ変わっていない。今こそ、何が可能かを再考する時だ」とコメントした。
Napsterは1999年、P2P技術を用いた音楽ファイル共有サービスとして始まり、やがて「海賊版の申し子」に。破産や買収を経て、2016年からは音楽配信サービスとして事業を展開。2022年5月からは投資会社Hivemind Capital Partnersとブロックチェーン・暗号資産企業Algorandの傘下にあった。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「Napsterを没入型テクノロジー企業のInfinite Realityが買収。Napsterの歴史はネット誕生後の音楽産業の歴史そのものと言っていい。1999年、ファイル共有を発明。音楽をタダでダウンロードし放題に変え、CDビジネスを破壊したが、それは聴き放題文化の始まりでもあった。Napsterの創業者たちは20歳前後だったが、裏で聴き放題を合法化するには月額制のサブスクしかないと考え、ソニーミュージックなどがこれに同意し買収しようとしていたが、天文学的な著作権侵害の罰金で倒産。ソニーは独自で2001年に音楽サブスクのPressPlayを始めるがスマホのない時代には早すぎて音楽ファンが付いてこなかった。NapsterでDLしたmp3をCD-Rに焼いてCD Walkmanを聴く文化が出来たことからCD-Rライティング・ソフトで大儲けしたRoxio社が倒産したNapsterの暖簾を買収。ソニーのPressPlayも譲り受け、これをNapsterブランドで始めたのが音楽サブスク版のNapsterだが、ジョブズのiPodとiTunes Music Storeが勝ち、スマホが登場するまで音楽サブスクはずっとニッチなままだった。Spotifyのブームが始まるとサブスク版のNapsterは南米を中心に広がったが全体として後発のSpotifyにボロ負け。だが2025年に入ると先進国で音楽サブスクの普及が終わり、Spotifyですら伸び悩む時代に入った。そしてメタバースや生成AI、音楽ではWeverseのようなスーパーファンプラットフォームなど、サブスクの次に来るものが既に来ているが、ライブ配信、ソーシャル・リスニングパーティー、仮想空間、グッズ(物理・デジタル)、イベントチケットの販売、AI、コミュニティー管理エージェント、ゲーミフィケーション、eスポーツなどを資産に持つInfinite RealityはNapsterを次の段階に進める意図を持っているので、ポストサブスクの見取り図が生まれるかもしれない。今後が楽しみだ。」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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