MTV Video Music Awards、今年は初めてCBSで放送

MTVは4月4日、「MTV Video Music Awards(VMA)」を今年初めてCBSで放送すると発表した。MTVでの独占放送が終了することとなった。MTVとParamount+でもサイマル放送される。
9月7日20:00~23:00(米国東部夏時間。日本時間では9月8日9:00〜12:00)に、米ニューヨーク州エルモントにあるUBSアリーナから生中継される。
昨年はComedy Central、CMT、VH1などを含む13のネットワークで放送されたが、今年はMTVとParamountネットワークスに絞る格好だ。
2024年のVMAは、過去4年間で最大のマルチネットワーク視聴者数を記録。6,670万件のソーシャルインタラクション(交流)が計測されるなど「番組史上最もソーシャルなVMA」となった。
同様の動きとして、昨年には「CMT Music Awards」が初めてCBSで生中継された。
当初は音楽ビデオの配信に重点を置いていたMTVだが、リアリティー番組などにシフトしたことでコア視聴者が減少。ストリーミングの台頭で音楽ビデオへの接し方などが変化したことも手伝い視聴率が低迷している。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「かつて隆盛を極めたMTVのVideo Music Awards(VMA)だが今回からCBSでも配信されることに。年々、視聴数が落ちる音楽テレビでの放送にこだわらずに「番組史上最もソーシャルな」音楽イベントを目指し、6,670万件のソーシャルインタラクションと一定の成果を出しているが、その戦略をいちイベントからMTV全体に広げていけるか、答えを見出しにくい状態が長年続いている。私も本で扱ったがMTVは、音楽ビデオよりも数字の取りやすいリアリティー番組に力を入れていくうちにコア視聴者が減少し、そこへYouTubeが登場し、MTVも対抗して音楽ビデオ配信を始めたが途中で力負けした。こうした現象はラジオの登場からすべての音楽メディアで起こっていることで、新しいテクノロジーが新しい媒体を生むと、そこに音楽がキラーコンテンツとしてまず扱われ、その後、マスを拡大するために音楽以外のコンテンツも増やすうちにバラエティ化が進み、そこで技術革新が起きて新しいメディアが出てくるとそちらが音楽をキラーコンテンツにするので、そっちへコア視聴者が逃げていくということを人類は繰り返している。それはSpotifyにも起こりうることで、MIDiA社なども音楽サブスクがそろそろイノヴェーションのジレンマに陥る兆候があると指摘している。」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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