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米国の音楽消費、違法コピーを経て回復傾向に

ビジネス 海外

米国では10年前と比べて音楽購入者が5,000万人近く増えており、違法コピーなどの逆風を経て、音楽への支出を巡る消費者心理の好転が始まったーー。音楽・エンターテインメント業界のマーケティング調査と業界分析を専門とするMusicWatchが4月1日、こうした分析を発表した。 

米国の有料音楽配信契約者の伸びが減速する中、有料契約者数は2024年に過去最高を記録。13〜70歳の50%に当たる1億3,200万人が、主に音楽番組を提供する定額制サービス(オンデマンド、衛星ラジオ、有料のインターネットラジオサービスを含む)の契約料を支払っている。 

音楽ソフトの1人当たり消費支出は前年比10%増の112ドル(約1万6,400円)。13~70歳の半数超がCD、ダウンロード、レコード、オンデマンドまたは非インタラクティブのサブスクリプション(衛星ラジオを除く)を購入した。Napster(ファイル共有)流行以降、業界の低迷が続いていた2014年を見ると、音楽ソフトへの1人当たり支出は約80ドル、購入者は全体の3分の1だった。 

ライブ消費額は1人当たり281.08ドルで前年から17%増加。インフレの影響もあるが、チケット購入者は人口の56%と5ポイント拡大した。音楽関連グッズへの支出は45%伸びた。 

CDなどの従来フォーマットも、依然として多くのリスナーを獲得している。 

(文:坂本 泉)  

榎本編集長「音楽サブスクの成長が終わったが(※日本を除く先進国)、じゃあサブスクはどれくらい音楽産業を救ったのか?2014年、世界の音楽ソフト売上は谷底にあった。アメリカも同様でそこからサブスク景気で音楽売上は2.6倍に(RIAA)。だが一人あたりだと80ドル/人が112ドル/人で1.4倍ほど(MusicWatch)。その期間のインフレ率は35%で差し引くとトントンだ。つまり単価よりも、音楽ソフトにお金を払う人数が増えたことが大きいと分かるが、まさにそれは「広く浅く」を狙うサブスクの本領発揮だった。2014年に音楽ソフトへ支払うアメリカ人は3人に1人だったが、2024年には13〜70歳の半数が音楽サブスクの有料会員になっている(同MW)。Spotify日本上陸4年前の2012年に連載で「サブスク普及後の課題は深堀りだ」と書いたが予測通りになり、現在はスーパーファンプラットフォームやサブスクのVIPプランなど深堀りのビジネスモデルが脚光を浴びることになった」

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。