SpotifyのAI広告ツール、ラジオ業界に激震 中小企業のセルフ出稿が加速も

Spotifyが4月2日に発表した広告ソリューションが、ローカルラジオにとって大きな脅威となっている。広告主(特に中小企業)によるセルフサービス型の広告プラットフォームへの傾倒に拍車がかかる可能性がある。放送局やデジタルメディア企業向けコンサルティングを手がけるJacobs Mediaが伝えた。
<Spotifyの新広告ソリューション>
・Spotify Ad Exchange:広告主は複数のプログラマティック広告プラットフォームで同じCMを流せる
・高度なアナリティクスとアトリビューション:広告主はキャンペーンの目的を指定し、効果を示す定量的なデータが取得可能SpotifyはDoubleVerifyなど一流パートナーと提携し、明確なパフォーマンスデータを入手している。
・ AI生成のCM:広告主は、音楽、音声、トーンで構成された音声広告を無料で即座に生成できる
<SpotifyのAIツールを使ったCMの作り方>
- Spotify Ad Managerで、新しいキャンペーンを作成し、キャンペーンの目的を選択
- 広告カテゴリー、ターゲティング(地域、人口統計、興味)、実行日、予算を選ぶ
- 「Make Your Own」を選択
- メッセージ、キーワード、含める・除外するキーワードを追加し、「生成」をクリック
- 出力されたスクリプトを編集
- 声とトーンを選ぶ
- BGMを追加
- キャンペーンに追加して実行
(文:坂本 泉)
榎本編集長「ラジオの脅威?Spotifyがわずか10分でラジオ広告を制作・配信できるAIを今月初頭に発表したが、Spotifyの音声広告やポッドキャストだけでなく、地上波ラジオの広告制作・配信にも理論的には対応できることから「ラジオ業界の脅威になる」とアメリカで話題になっている。アメリカはラジオ大国でその広告市場は362億ドル(約5兆円)と音楽ソフト(卸値)の2倍以上の規模を誇るだけに、もしそこを抑えることができればSpotifyにとって大きな躍進になる。なお日本のラジオ広告市場は音楽ソフトの3分の1。以前、Googleもラジオ広告、テレビ広告の配信システムをやっていたがラジオは2009年に、テレビは2012年に撤退している。その後、生成AIが隆盛し、状況が変わってきたわけだ」
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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