島村楽器、2022年度上半期は防音室が引き続き好調 歌声合成ソフトが急上昇/ライブやフェス復活で機材関係が回復傾向に
島村楽器は、島村楽器の店舗で2022年度上半期に売れた楽器ランキングTOP10を発表した(対象期間:2022年3月〜2022年8月)。
2021年度下半期のトップだった防音室は引き続き1位となり、防音への需要がまだ高い傾向があるという結果になった。また、今回は若年層を中心に人気がある歌声合成ソフトが2位に続いた。さらに行動制限の緩和によりライブ活動が徐々に行われつつある状況から、ライブで使用されるエフェクターやDJ機器がランクインした。
2022年度上半期 売れた楽器ランキング
1位:防音室
前回の2021年度下半期に引き続き、今期も1位は、防音室となり、まだまだ防音に対する需要があることが伺える結果となった。主な使用用途としては、楽器演奏での防音はもちろん、他の用途としてテレワーク、動画配信、ゲームとなり、特に最近はゲームプレイヤーが実況をしながら動画配信するゲーム配信での使用が注目されているようだ。また最近の傾向としては、単に防音性能が高いだけではなく、室内の音の響きや使いやすさなども重視して、こだわりを持って防音室を求める人も多くなっている。
2位:歌声合成ソフト
コロナ禍以降、巣ごもり需要でPCで音楽制作を行うDTM(デスクトップミュージック)関連の商品が好調だ。今回2位にランクインした歌声合成ソフトは、ソフトウェアで歌わせて、ボーカリストがいなくても手軽にボーカル楽曲を制作できることを可能にする商品。歌声合成ソフトはボーカロイドが有名だが、他の様々なタイプのソフトウェアも発売され、歌声技術も日々進化しておりラインナップは充実している。また、動画投稿で使用するテキスト読み上げソフトの売れ行きも好調だった。
3位:カリンバ
前年ランクインしたカリンバが引き続きランクイン。練習動画や教本によるレッスンはもちろんのこと、セミナーやサークルの活動が行われるようになり、練習環境が整備されつつある。その影響か一過性のブームには終わらず、カリンバを継続して楽しむ人が増えている。また、カリンバの認知が高まるにつれて、最初からある程度グレードが高いものを選んだり、より良いものを求めて買い替える人もいるようだ。21音の鍵盤がある仕様やピックアップ付きタイプ等、商品のバリエーションが増えており、カリンバの魅力にハマった人は2台目を購入するケースもあるとのこと。
4位:DJ機器
前年までは、コロナ禍によるDJの演奏活動の自粛により売上が減少したが、行動制限の緩和によりクラブや飲食店をはじめ音楽フェス、スポーツ観戦や企業催事など各種催しものが再開する中、DJをプレイする機会が増えたことにより需要が増加した。また、巣ごもり需要で、新たにDJ機器に挑戦する人もいるようだ。
5位:シンセサイザー
コロナ禍により、長期欠品していたシンセサイザー関連の楽器の供給が徐々に安定しつつあり、販売量も増えたことからランクイン。シンセサイザーの中でも、電子管楽器が広く認知されるようになり、男女問わず幅広い年齢層で人気が定着している。
6位:チェロ
前回に引き続き、チェロがランクイン。老若男女問わず人気が高く、特に大人にとって憧れの楽器であり、まだまだ潜在需要が高い楽器だ。チェロは、ヨーロッパ製のものが多く、昨今のウクライナ情勢による輸送費の高騰や円安の影響があり、今後値上げの可能性もあると予想される。そのため、値上げ前に入手したいと考えて今のタイミングで購入する人もいるようだ。
7位:マルチエフェクター
7位には、ギターやベースの音作りに重要な機器であるマルチエフェクターがランクイン。前年までは、コロナ禍によるバンド等の演奏活動の自粛により売上が減少したが、今期は活動自粛の傾向が弱まり、バンド等の演奏活動が徐々に再開されているため、売上が上がったと思われる。
8位:ヴァイオリン
チェロと同じく、ヴァイオリンも前回に引き続きランクイン。これも年代を問わず憧れの楽器で潜在需要が高い楽器だ。ランクインした要因としては、趣味で楽しむ人が増えたことはもちろん、チェロと同様にヨーロッパ製が多いので、ヨーロッパ情勢や円安の影響も踏まえ、今後のことを見越して購入するケースもあるようだ。
9位:フルート
コロナ対策が進んだことにより、学校の課外活動制限の緩和が進んだり、フルートの購入を控えていた大人の趣味層が購入していることが売上に影響を与えていると考えられる。普及価格帯だけでなく、高価格帯も好調で、本格的な回復傾向が見られる。
10位:アコースティックピアノ
アコースティックピアノ需要は前年度より落ち着いてきた印象があるがやはり人気のある楽器の1つ。長期に渡るコロナ禍で「楽器の王様」であるピアノに注目が集まったことは大いに想定され、”一度はピアノを演奏してみたい”という意識が多くの人に定着していた感があり、それが売上アップに影響していると思われる。
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