英EMI買収 ユニバーサルが最有力に、今週末に発表の可能性も

コラム 高橋裕二の洋楽天国

【ユニバーサルミュージックがEMIを買収か(EMIミュージックの売却話その12)】

EMIミュージックの売却・買収についてたびたび報道していた新聞ニューヨーク・ポストが、「ユニバーサルミュージックがもうすぐEMIを買収」と報じた。

記事を書いたのは一連のEMIミュージックの売却・買収を取り上げていたニューヨーク・ポストの女性記者クレアー・アトキンソン。それによると米金融最大手シティグループの幹部とユニバーサルミュージックの幹部が水曜日(11月9日)の夜、ロンドンで会談したという。

買収・売却の争点はEMIミュージックが抱える約460億円(1$77円換算)もの年金の債務。この点についてシティグループが譲歩したかもしれない。

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ワーナーミュージックを保有するアクセス・インダストリーズが交渉から降りたのは、この年金問題が解決しなかった為だと言われていた。アクセス・インダストリーズの提示額は約1155億円(1$77円換算)に対してユニバーサルミュージックの提示額は約924億円だった。この差異を、年金の債務をどう処理するのかという点で、ユニバーサルミュージックが好条件を提示し、シティグループと交渉がまとまったのかもしれない。

しかしユニバーサルミュージックが買収したとしても世界各国、特にEU諸国での競争法(独占禁止法)に抵触する恐れが高い。その場合EMIミュージックのいくつかの部門を切り売りしなければならない。

ユニバーサルミュージックが買収するのはレコード部門だけ。音楽出版部門はドイツのメディア最大手ベルテルスマンの子会社で投資ファンドのKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)との合弁会社BMGライツ・マネージメントが買収の最有力候補だった。しかしクレアー・アトキンソン記者は消息筋の話として、「ソニーが買収競争に戻って来た。BMGをクシャクシャにしている」と書いた。ソニーもBMGも提示した買収金額は約1540億円。レコード部門よりも高い。

彼女はまた、レコード部門と音楽出版部門は同時に売却される。48時間以内に結論が出るとも書いた。それでいくとアメリカ時間で金曜日(日本時間で土曜日)にEMIミュージックの売却が発表になる。

ちなみにユニバーサルミュージックの親会社はフランスのメディア最大手のヴィヴェンディ。もしユニバーサルが買収したら世界のメジャー・レコード会社は日本のソニー(ソニーミュージック)やロシアのアクセス・インダストリーズ(ワーナーミュージック)とフランスのヴィヴェンディ(ユニバーサルミュージック)という事になり、アメリカ資本は皆無になる。

記事提供元:Musicman オススメBlog【高橋裕二の洋楽天国】

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