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ユニバーサル ミュージックグループが部分売却を検討

コラム 高橋裕二の洋楽天国

ユニバーサルミュージックによるEMIミュージック買収について、ユニバーサル側は2月20日、欧州地区での買収を認めて貰うよう、日本の独占禁止法にあたる「欧州連合競争法」を審査する欧州委員会に必要書類を提出した。

昨年(2011年)11月、ユニバーサルミュージックがEMIミュージックのレコード部門を約1463億円(1$77円換算)で買収した際に、当初から世界各国での独占禁止法や反トラスト法に抵触する事が懸念されていた。

月曜日(3月5日)、業界誌ヒッツはユニバーサルミュージックの親会社であるフランスに本社があるビベンディが会社の事業内容や財務内容状況を開示した事を報じた。それによるとユニバーサルミュージックは、本業ではない「非中核資産」を日本円で約540億円(フランスが本社な為ユーロで開示された。1ユーロ108円換算)で売却する準備を進めている。売却を行うことで、昨年買収した際の約1463億円の資金の一部にあてることが出来る。またEMIミュージックを買収した事により各部門でコストの削減が可能で、その金額は年間にすると約108億円だそうだ。

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これらの売却は規制に対して良い効果を及ぼすとビベンディのフィリップ・カプロン最高財務責任者は見ており、売却は欧州委員会が第1回の結論を出す前に実行する予定だと語った。但しどの部門が売却を予定する「非中核資産」なのかは明らかにしなかった。

アメリカでは先週の金曜日(3月2日)、ユニバーサルミュージックは保有するインディーズ系レコードの販売会社「フォンタナ販売」を、インディーズ系の音楽デジタル販売会社イングルーヴス社(INgrooves)に売却した。売却金額は明らかになっていない。

欧州委員会はユニバーサルミュージックに対して第1回の報告を3月23日に行うことにしている。しかしながら業界関係者は最終決着を見るまでに早くて6ヶ月、遅ければ9ヶ月はかかかるだろうと見ている。ユニバーサルミュージックのジャン・バーナード・レヴィ最高経営責任者は投資家に対して、上半期で結論が出るとは期待しないで欲しいとコメントした。特にヨーロッパでは大企業が市場を独占することについて大変厳しいからだ。

そんな中、相変わらず今回の買収を認めないように、欧州委員会やアメリカの連邦取引委員会に働きかけているのが買収に失敗したワーナーミュージックだ。オーナーのウクライナ人でロシア出身のレン・ブラヴァトニクが吠えている。認めたらユニバーサルミュージックのアメリカでの市場占有率が40%を超え、反トラスト法に抵触すると主張する。

ところでアメリカでも今年の第1四半期が3月末で締まるが、チャート的に見てユニバーサルミュージックは全く不振だ。主要作品はドレイクの「テイク・ケア」、リアーナの「トーク・ザット・トーク」やヴァン・ヘイレンの「ア・ディファレント・カインド・オブ・トゥルース」くらいしかない。どれも今年(2012年)ビルボード・アルバム・チャートの1位になっていない。ソニーミュージックの絶好調とは好対照だ。グラミー賞も大敗だった。

ライブ・ネイション原盤でインタースコープ・レコードが発売するマドンナの「MDNA」がユニバーサルミュージックの第1四半期の最大の目玉だ。勿論発売初週はアデルを押さえ込めるだろう。3月26日に発売される。

記事提供元:Musicman オススメBlog【高橋裕二の洋楽天国】

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